第6章 Collapse!〈遠坂 雪音〉
目を覚ますと、真っ白な部屋だった。少し見回すと恐らく病院である事も分かる。取り敢えず起き上がろうと思って身体を起こすと、足元に重みを感じた。
「んぅ…」
菖蒲ちゃんが寝入っている。ずっとここに居てくれたのだろうか。
『ありがとうございます』
そう無線音で呟いて、静かにナースコールを押した。すると、すぐにナースさんが駆けつけてきてくれたので、今の容態を話した。
「大丈夫そうですね」
『はい』
今まで大量に使用されてきた薬の副作用のせいで2週間程は入院しなくてはならないらしい。少し騒がしくしてしまった為か、菖蒲ちゃんも目を覚ましてしまった。
「え…ゆ、雪音…!起きたの…⁉︎」
『はい。お待たせしました』
「お帰り…!雪音…!」
涙をボロボロと流しながら抱きついてくれる菖蒲ちゃんの頭を撫でた。
『長い間…心配かけてしまってすみません』
「本当に…心配したんだから…!」
数ヶ月の間、ずっと一人にしてしまっていた。でも、私がここに居ると言う事は、革命は成功したという事で合っているのだろうか。
「雪音ちゃん!」
『ヒロトさんに、瑠璃さん…』
「目を覚ましたんだね」
『はい』
目を覚ましたと聞いて飛んできたんだろう。凄く急いできましたっていう顔をしている。
「菖蒲ちゃんも来てくれていたんだね」
「はい」
『ヒロトさん、瑠璃さん。あと2週間位は入院だそうです』
「そっか。落ち着いたら、ちゃんと話してくれるかい?」
『はい…』
「でも、無理しなくて良いよ。私も、お日さま園の皆も、雪音ちゃんの事ずっと心配してたから」
『瑠璃さん…』
でも、あれからフィフスセクターはどうなってしまったのだろうか。雷門との決勝戦の事は何一つ覚えていない。何をどうしたのかも、全く思い出せなかった。
『フィフスセクターは…あれからどうなったんですか?』
「雷門が革命を成し遂げてくれたからね。見事フィフスセクターは解散になったよ」
『そうですか…。あの…』
「ん?」
『私…雷門の皆さんに、酷い事をしてしまった様な気がするんです。どうしても、謝りたいんです。どうにか…出来ませんか…?』
「そうだね…後で相談してみるよ」
『ありがとうございます』
「それじゃあヒロト君、そろそろ帰ろうっか」
「ああ」
『来てくれてありがとうございます』
「いや、良いんだ。安静にね」
『はい』