第43章 Sightseeing!〈遠坂 雪音〉
「何かお探しですか?」
少し大きめな声を出してしまったからか、店員さんが笑顔で話しかけてくれた。
『実はこの島伝統の焼き菓子をお土産に買っていきたくて』
「ならそうですね。先程お客様が仰られたこちらの商品でございます。プレーンとマーマレードの2種類ございますが、如何致しますか?」
『どうする?』
「お互い違うフレーバーを買うのはどうだ」
『うん。それが良いね』
私がプレーン、京介がマーマレードを購入し一先ず今日の予定は終わり。
「ありがとうございました〜」
店員さんからお土産を受け取り、空港から出ると段々と日差しが活発になってくる。
『このまま持ち歩いてたらダメになっちゃいそうだし、取り敢えず宿舎に戻って冷蔵庫に入れない?』
「そうだな。そもそも荷物を持ち歩いたままどこか行くのは不便だ」
『宿舎に戻ってから、午後どうするか決めようよ』
「分かった」
普通の人より体力がないことと、だいぶ前からかなり体力が落ちてきている事もあり、休み休み行動しないとまともに日常生活も送れなくなってしまった。
『外暑いね…溶けそう』
「ここは常夏だからな」
『それはそうなんだけど…京介は平気そうだね』
「いつも外でサッカーしてるからな」
『日差しに慣れてるならそうか〜』
ジリジリ照りつける日差しに耐えながらなんとか宿舎まで戻り、急いで冷蔵庫にお菓子を突っ込んだ。面倒なので私の部屋に2つとも入れてある。
「何にせよ、少し休んだ方がいい」
『うん。飲み物冷蔵庫に入ってるよ。好きなのとって良いから』
「お前は何が良い?」
『私はお茶で。一応菖蒲が好きだから甘いのもあるし、なんか知らないけど凄い良心設計でコーヒーとか色んなのあるから』
「こんなに入ってたのか」
京介からペットボトルのお茶を受け取って、ごくごくと一気に喉を潤した。
『そう。私も最初は気付かなかったけど、菖蒲が教えてくれたんだ』
「冷蔵庫は滅多に使わないからな…」
『まぁそうだよね。冷やすものもないし、飲み物は食堂に行けば水があるからそれで満足してた』
お互い一息付いたところで、午後はどうするかを話し合う事にした。
『午後はどうする?ご飯でも食べに行こうか?』
「この暑い中だとお前が大変だろ」
『う、そうかも…』
「俺が作るか」
『良いの?』
「あまり期待するなよ。プロ並みに出来るわけじゃない」