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Diva!【イナズマイレブンGO】

第5章 Startle!〈栗花落 菖蒲〉


「ありがとう。でも、大丈夫。今日はエスコートするよ」

エスコートって…。中学一年が一丁前に何言ってんだか。でも、無邪気に笑う顔は嫌いじゃない。

『雷門は…順調に勝ち進んでるんだね』
「うん、でも…。僕達だって負けたくない」

太陽も大分思い詰めている。自分が戦うわけでもないのに…どうしてそんなに苦しそうなの…?

『あ、着いた』
「行こう、菖蒲」
『うん』

立ち上がって、スタジアムに向かおうと思ったその時。

『な、何これ…』
「迷路になってるんだ。こっちだよ」
『え、え…?』

またしても太陽に手を引かれるままに右に曲がったり、左に曲がったり。本当にこれで合っているのかさえも分からないのに、太陽はどんどん進んでいく。

『太陽…?これ、本当に合ってるの…?』
「大丈夫だよ」

でも、実際に岩が出てる部分からは脱出できた。そこを抜けると、次は本当の砂漠の様で、日射しが強い。日焼け止め塗っておいて正解だった…。

「大丈夫?菖蒲」
『うん。ちょっと暑いけど…ここからもっとかかるの?』
「いや、もう少しだよ」
『そっか』

なんだか、ハッタリが多いな…。看板がなきゃ永遠にこの砂漠彷徨ってたよ…。

『はぁ…やっと着いた…』
「菖蒲、ちょっと待ってて」
『え…?うん』

スタジアムの前のベンチに座って、一息つく事にした。しかし、本当に暑い。日陰のベンチじゃなかったら本当に熱中症になっていた。

「あ〜やめ!」
『ひゃあっ…!』

いきなり首筋に冷たい感覚がしたからびっくりしてしまった。

「可愛い、菖蒲」
『だ、だからそういうの要らない!今のは何も聞いてない、そういう事にして…』
「はいはい。ほら、飲み物」
『え、ありがと…。何円だった?』
「良いよ。今回は僕の奢り。その代わり今度お菓子持ってきてよ!」
『…良いけど…』

素直に太陽の買ってくれたペットボトルの水を受け取って、スタジアム内に入った。

「席、この辺だね」
『うん』
「僕、トイレに行ってくる。荷物見てて貰っても良い?」
『分かった』

太陽が席を外し、私は一人で試合が始まるのを待っていた。けれど、試合が近くなって、ウォーミングアップを始める時間なのに、一向に太陽が帰ってこない。すると、グラウンドに見覚えのある人影が見えた。

『えっ…まさか…』

その瞬間に太陽は此方を向いて微笑んだ。
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