第33章 Girls!〈天晶 瑪瑙〉
急に振られて驚いている。こういう所、雨宮君は好きなのかもね。
『雨宮君とは最近どう?』
「ど、どうって言われても…その、普通、ですよ…」
「ふーん?」
「何…?別に隠してなんか…」
『上手くいってるって事かな?』
この2人は本当に長く続いている。もう3年続いていて、雨宮君は本当に菖蒲ちゃんが大好きなんだなっていう事が伝わってくる。
『普段、菖蒲ちゃんと雨宮君ってデートはどんな感じなの?』
「え、えっと…普通にお出かけしてウィンドウショッピングしたり、お互いの家に行ったりしま、す…」
『楽しそう。なんか本当に青春って感じがして良いね』
「そうですかね…」
ちゃんとJK謳歌してる感じがして、凄く羨ましい。2人とも凄く楽しそう。
「この前の文化祭でもらぶらぶしてたもんね」
「ちょっ」
『へ〜!文化祭とかめっちゃ青春じゃん良いよ!』
「てか、なんで雪音が知って…!」
「カマかけただけなんだけど、当たってた?」
「ばかっ!」
顔真っ赤にしちゃって、ポカポカと雪音ちゃんを叩いている様子が愛らしい。なんだか自分に妹ができたみたいだ。
『ふふ、もうその辺にして、次は雪音ちゃんに聞こうかな』
「え」
「まあ、ここまで来たら逃げられないよね」
『最近京介君とはどう?良い感じ?』
「実は、その…」
雪音ちゃんが急に暗い顔になる。2人に何かあったんだろうか。
「2人にはまだ言ってなかったんですけど、私、手術をするんです」
「え」
『あら…』
「中学生の時の身体に見合わない無理な体力強化の為の特訓にドーピング、事故にも遭って、回復してからも北大路家に行った事でストレスを受け続けて…私の身体、割とボロボロみたいなんです」
「雪音…」
菖蒲ちゃんが泣きそうな顔になっている。そりゃそうだ。どうして雪音ちゃんだけこんなに苦しまなきゃいけないのか。
「京介は…優一さんの事があってから病気には敏感です。しかも次の私の手術は死ぬかもしれない」
『嘘…』
「だから、京介自身もどうしたらいいのかわからないんだと思います。でも私は信じてます。今迄辛い事があった分、次の手術は成功して幸せになれるって」
彼女はもう、覚悟が決まっているようだ。必死に自分を信じて前を向こうとしている。けれど京介君がそうもいかない、と言ったところか。お互いに自分を隠そうとする癖があるから、難しい状況だ。