第33章 Girls!〈天晶 瑪瑙〉
年上として出来ることなんてこれ位だし、女子高生って何かと物入り。お茶代位出してあげたいじゃないか。
『本当に気にしないで。私だけ食べるのもあれだし、皆で色んなスイーツ食べたかったの』
「わ、分かりました。じゃあいただきます!」
『その代わり、また私とお茶してくれたら嬉しいな』
そう言うと2人とも目をキラキラさせてこっちを見てきた。本当に可愛らしい子達だ。
「瑪瑙さんと優一さんは本当に似たもの同士ですね」
『え?そう?全然そんな事ないと思うんだけど…』
「瑪瑙さんも優一さんもとても優しいじゃないですか」
「私も初めてちゃんと瑪瑙さんと話しましたけど、優しい人だっていうのが伝わってきますよ」
『本当?そう言ってくれると嬉しいな』
昔から優しいと言われる。けど自分にはそんなつもりはなくて、ただ放って置けないだけなのだ。お節介と言われる事も沢山ある。優一君の所へずっと通い続けたのも、彼を放っておけなくて、そして友達として大好きだったから。
「あ、もしかして優一さんの事考えてたんですか?」
『へっ⁉︎い、いやいや別にそういう訳じゃ!』
「大好きなんですね。優一さんの事」
『あ、菖蒲ちゃんまで…』
「優一さんとの話、もし良ければ聞かせてくれませんか?」
『えぇ⁉︎』
まさか私達のことを人に話すなんて想定してなかったから、素っ頓狂な声をあげてしまった。
『え、えぇと…少しだけ、なら。良いよ。あと、2人の話も聞かせてもらうから!』
「えっ、飛び火した」
「まぁ、話せって言ったの私だし。分かりました!」
恋バナってこういう感じなんだ。こういう事をあまりやった事がなくて本当に緊張する。
「2人の出会いってどんな感じだったんですか?」
『私達は幼馴染で、幼稚園に入園する前から、公園で一緒に遊んでいたの』
「じゃあちょうど剣城君が生まれる時位って事ですか?」
『そうだね。それより少し前くらいから、気が付いたら一緒に遊んでた。幼稚園に行っても、小学校に行っても、ずっと仲良くしてたなあ。波長があったのかもね』
雪音ちゃんも菖蒲ちゃんも何故か納得してるのか縦に首をぶんぶん振っている。何故?
『でもね、それから事故があって。優一君は病室から出られなくなった』
2人とも暗い顔だ。でも、優一君はそれを乗り越えて、今大地を踏みしめてる。2人が暗い顔をする必要などない。