第31章 Beauty!〈遠坂 雪音〉
ーーミスコン当日
文化祭二日目。ミスコンがもうすぐ始まる。今回のミスコン参戦者は四名。私と菖蒲、それから雷門中の生徒会長と副会長だった、小鳥遊桃花先輩、そして優勝最有力候補である夜蝶空音先輩。元々優勝目的で臨んでるわけではないので気楽にいこうと思う。
「いよいよだな」
『そうだね。なんか緊張してきた…!』
今はメイク中。今日はドレスの色に合わせたピンクのアイシャドウと少しボルドーに寄せた赤のリップ。いつもはあまりしないメイクだけど、ドレスのおかげか似合っているような気がする。
『うん。メイクも完成』
そして今日の髪型は瑠璃さんの渾身の出来。くるりんぱと三つ編みを組み合わせて、ハーフアップみたいに見せる。そしてコテでくるくると巻いたら出来上がり。そして最後は。
『ねえこれ、付けてくれる?』
花冠を京介に手渡した。少し緊張で手が震える。
「大丈夫だ。ずっと見てる」
『うん。約束だよ』
そう言ってもらえて安心できた。震えも収まって、ようやっと自信を持てた気がする。
「できたぞ」
鏡を見ると、薄いピンクの花冠が綺麗に頭の上に収まっていた。
『完璧』
「綺麗だ」
『ありがとう』
なんだか、これまでにないくらい素敵な笑顔な気がする。面白くって笑うこともあるけど、こうやって嬉しくてお淑やかに笑うのも悪くない。
『行ってくる。終わったら真っ先に京介のところに行くから』
「ああ」
体育館のステージ横にある控室に入り込んだ。他の参加者はもう集まっていて、私がラストなようだ。
「雪音。とっても綺麗だね」
『菖蒲こそ。すごく綺麗』
こんなに綺麗な菖蒲、もう見れないんじゃないかってレベルできらきら輝いていた。流石雨宮君。
「全員集まったね」
「ふふ、皆綺麗ね」
『小鳥遊先輩に夜蝶先輩』
「文化祭で協力した仲でしょう。桃花って呼んで」
「私も、空音って呼んでいいのよ」
「は、はい…」
先輩たちの美しさが桁違いだった。特に最有力候補の空音先輩。高校生に出せる色気とは思えないほど綺麗で、自分に一番似合ってるメイクがもう分かっているようだった。
『先輩たち、すごく綺麗です…』
「あらありがとう。嬉しいわ」
「まぁ…私たちは出場二回目だから慣れてるっていうのもあるかな」
照れながら桃花先輩が笑った。はにかんだ笑顔がとても可愛くて、私のハートも射止められそうだ。