第27章 Nightmare!〈遠坂 雪音〉
『いや、待って』
「なんだ」
『そしたらあの時の…剣城と一緒に過去に行った事は嘘になるの?』
「それは…」
過去が改変された?もしくは、姉自体に何かが起こっている…?
『嫌な予感がする。ちゃんと調べたほうがいい』
「そうだな」
『なんとなくの私の直感だけど』
「なんだ?」
『大きな事が起こりそうな気がする』
こんなに大きな矛盾、未来からの過去への干渉以外は今の所思い浮かばない。でも、これ以上過去の改変は行わないと約束されたはず。一体誰が。
『ヒロトさん達に調べてもらったほうが良いかもしれない』
「そこまでの話なのか」
『考えてみて。私達が見たあの光景は本物だった。だけど、姉の記憶は違う。精神科医に罹っても特に異常は見られなかった。そうなれば今の私たちで考えられる可能性はひとつ。記憶への干渉』
「そんな馬鹿な事がある訳…第一そんな事できるはずが…」
『分からない。取り敢えずヒロトさんのところへ。何の問題が発生したのか、あるいはするのか分からない以上、警戒は怠らないほうが良いから』
剣城を連れてお日さま園へ急いだ。胸騒ぎが治らない。なんなんだろう。
『ヒロトさんいますか?』
「あら、雪音ちゃん。どうしたの?剣城君も」
『大事な話が』
「分かった。呼んでくるね」
私の普段通りでは無い様子を見て、慌てて瑠璃さんが奥へと走っていった。その間に私と剣城は靴を脱いで応接室へ向かう。
「何か心当たりがあるのか」
『…分からない。確証は持てないけど…あの人達なら手を出してもおかしく無いから』
「北大路家か?」
『違う。あの家はもうそこまでできる力なんて残ってない。もっと厄介な方だよ…』
そう話して応接室の扉を開けてソファに座る。剣城に言った通り思い付く候補は一つだけある。考えたくは無いけれど。
「やあ、待たせたね。雪音ちゃん。と剣城君」
数秒後にヒロトさんが応接室の扉を開けた。凄い嫌そうに剣城君って言ったけど、もうそろそろ子離れして欲しいところ。
「こんにちは」
『こんにちは、ヒロトさん。実は大事な話があって来ました』
「もしかして…」
『お気付きかもしれませんが、姉の事です』
「あ、そっちか」
いやもう一つの方は何?全く思い当たる事はないが、ヒロトさんは何を考えていたんだろう。
『多分ですけど…あの家が動き始めました』