第27章 Nightmare!〈遠坂 雪音〉
放課後、取り敢えず剣城と一緒に姉の待つ警察署へと向かった。面会を許してもらい剣城と共に、ついに姉と面会することになる。
『はぁ…何話せば良いんだろ…』
「昔みたいに…は無理か」
『まぁアングラ入っちゃってるみたいだし、私の事だってどう思ってるか分かんないしね』
そう話したところで面会時間となり、姉の待つ部屋へと入った。
『お姉ちゃん…』
「雪音…」
『私も勢いでお姉ちゃんに会うって言っちゃったから、何話すとかは考えてきてないんだけど…』
「その前に、その横の奴は?」
『剣城 京介。私の友達。なんか不安だったから一緒に着いてきてもらったの』
「あっそう。でも、あんたがそんな性格になるなんて思いもしなかった」
『まぁ、母親の影響で性格歪んだしね…。お姉ちゃんだってそうなんでしょ』
「は?何言ってんの?割とちっちゃい時からあたしはこの性格で間違いないと思うけど」
『…え?』
そんなはずはない。私が小さい頃は確かに優しくて素敵なお姉ちゃんだった。
『だって、昔はあんなに優しくて…』
「だから、それ誰かと勘違いしてるんじゃないの?あたし、あんたの事いじめてたし」
どういう事…?父が死んで、それから姉はアングラに染まって…私にも無頓着になった。
『私の…記憶違い…?』
「じゃないの?」
『そんなはずは…じゃあお父さんが亡くなったのは…』
「亡くなったんじゃない。あいつは人を殺して、死刑になった。亡くなった、なんて言葉で片付けて良いような人じゃない」
『そんな…じゃあ母は…?』
「あいつはそんな夫に呆れて男遊びだの、酒飲んだりだの酷い有様。だからあたしはそんなクソババアから逃げたの」
「どういう事だ…雪音」
『私にも…分からない』
「言っとくけど、私はあんたにこれ以上話すことは何もない。あんたの事、私は理解できないからね」
『…分かった。帰る。行こう、剣城』
「あ、ああ」
全くもって意味不明だった、私と姉の記憶が違いすぎる。菖蒲と関わる以前の話だから菖蒲に聞いても仕方がないし…。
「前にお前が、記憶を失う前の自分は性格が歪められたって言ってたよな」
部屋を出ながら剣城がそう呟いた。
『うん。医者からもそう聞いてる』
「もしかしたら、それで記憶も歪められてる可能性もあるんじゃないか」
『そうか…確かに、そうかもしれない』
改めて考えると否定できない可能性だ。