第26章 Sports festival!〈栗花落 菖蒲〉
「何かしら理由こじつけて飛んできそうだけどね」
『否定はしない』
まぁ、そんな一直線なところも好きだから。期待しないで待ってるけど。まぁ…付けているとすれば水色のリボン、位…かな。今日は雪音の御所望で編み込みツインテール…というよりシニヨンに近いのかな。髪の毛とか弄るのも好きだから、頑張ったら出来た。
「位置について、よーい」
パァン
ピストルの音で一斉に走り出す。太陽の目、本気の目なんですけど…。すげぇ…っていう声しか出てこない。
「菖蒲!」
『え、マジ?』
「マジだって。ほら、行ってきてあげなよ」
『え、あ、いや、なんかめっちゃこっち来るんだけど…』
「うわぁお、大胆」
いやいや、そんな事言ってる場合じゃないんだって。ねぇ、目立ちたく無いんだってば!
「行くよ」
『え、あ』
そのまま腕を引っ張られて、ゴール一直線。他の人達が苦戦している中、私はこれは最早借り人競争で良いのでは…?と思い始める。
「いっちばん!」
『き、肝が冷えた…』
「これ見たらすぐに菖蒲だって思ったんだ!」
お題の紙を見せつけてきた。そこには水色のリボン、と書かれている。これで私が思った事第一位。リボン類好きなんか?
『ちゃんと、見ててくれたんだね』
「当たり前だよ」
リボンの端を摘んで、にっこり笑う。ああ、好きだなって思ってしまった。不覚。
「だって、今日いつもとは違う髪型してくれてるでしょ?すっごく可愛い!」
うん、直球!でも嬉しいよ。頑張ってやった甲斐があったという物だ。
『にしても、一位だって。凄いね』
「う〜ん、何拾っても菖蒲の所に行きたかったし」
『そ、それは流石に…』
「駄目なの?」
『お、お題の物ちゃんと持っていかないとゴールした事になんないよ…』
「でも菖蒲以外の所行きたくないし」
『そ、それは我儘…』
素直に思ってくれる所は嬉しいが、世の中にはルールというものがあるわけで。
『まぁ、でも、無理矢理こじつけなくても良いよ。決まりを守ってやらないと楽しくないしね』
「菖蒲は…僕が他の女の子の所に行っても良いの?」
『ルールならそうなっても仕方ないと思うよ』
「そっか」
なんか複雑な顔してるけど…別に行って欲しい訳じゃないっていうのをわかって欲しいな。そりゃあ、他の女の子と仲良くしてたら、私だって何も感じない訳じゃ無いんだし…。