第26章 Sports festival！〈栗花落 菖蒲〉

「私達、運動するの好きかって答えたら間違いなく横に首振るよね」
『それは思う』
「の割にダンス部入ってるけど」
『パラレルワールドの私がやってたらしいから、どんなもんか一回やってみようと思って』
「あー、あの時のか」

中学の時の時空移動案件。もはや中学生よりかは高校生…いや大人に任せた方が手っ取り早かったのではとか思ったけど、怒られそうだから言わない。

「あ、そろそろ始まる」
『本当だ』

借り物競走に出る方々はイケメン揃い。クラスの女子辺りがあわよくばとか思ってるんだろうなって、女子なら解る薄汚い思考が窺える。

『剣城君も出るじゃん』
「天馬も出るし、それに出てる人大体サッカー部じゃん」
『今の時代サッカーやってる人にはステータス補正かかってるから』
「言えてるわ」
『でしょ』

こういう競技なら、陸上部が沢山いると思うのだが、半数以上はサッカー部である。

「位置について、よーい」

パァン！

ピストルの音と同時に第一走者が駆け抜ける。落ちている紙には様々なお題が書かれている事だろう。

『因みに雪音だったらどんなお題入れる？』
「そうだなぁ。ヘアゴム系とか？あとはメガネとか…」
『無難』
「だってそれくらいじゃない？思い付くの」
『そうだなぁ。花狩先生のカツラとか』
「やば、それはまじ…くっ…ふふっ…だめ、笑う！あっははは！」
『これまじ名案』
「それ入れてて欲しいわ」
『書いたやつ殺されっからまじで』

そんな事書いたら、先生から恨まれる。悪ければ退学にでもなってしまいそうだ。

「雪音！」
『あんたの旦那さんお呼びだけど』
「うっさい！」
『行ってあげたら？態々見つけて此処まで走ってきたんだから』
「はいはい」

まぁ、大凡の予想は赤いリボン、ってとこか。そんな感じの事書いてあったら間違いなく走ってくるだろうね。

『お疲れ。リボンだったね』
「うん。これポニーフックだから簡単に外せちゃうわけ」
『剣城君に貰った、ね』
「良いの！そんな事気にしなくて！」
『あ、次もう始まる』
「本当だ」

次は太陽かな。はちまきは巻いてないけど、気迫だけは凄い。走る気満々ですって感じ。

「太陽君こそ、菖蒲の所走って来そうだけど」
『でも、私これと言って何か持ってるわけじゃないし』
「今日は特殊な髪型してるからゴムも見えないもんね」
『見えない様にしてるし』