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Diva!【イナズマイレブンGO】

第3章 Everyday!〈栗花落 菖蒲〉


「ひ、酷いよぉ〜菖蒲ぇ〜!」

あ、やばい。姉さんが泣き始めると面倒臭い。

『で、でも、姉さんも頑張ったよ…?ね…?』
「本当…?」
『う、うん。ほら、今度また一緒に練習しよう…?』
「うん…!」

姉さんが単純なのはちょっとありがたい。が、それ故に泣き始めたら面倒臭いし、調子に乗り始めても厄介だ。

「やっぱり菖蒲のご飯が美味しい〜」
『ま、まぁ…』
「こんなに上手なら雨宮君に持ってってあげれば良いのに」
『気が向いたら…かな』
「じゃあ、週末にでも作ろっか。お父さんもお母さんも出張だし」
『えっと…週末も部活あるから…』
「えっ⁉︎菖蒲部活入ったの⁉︎そんなのお姉ちゃん聞いてないよ⁉︎」

父さんと全く同じ反応してる…。まぁ、言ってなかったって言うのもあるけど…。

『あはは…』
「え〜言ってよ〜」
『ご、ごめん…』
「まぁ良いや、ね、スマホ出して!ライン交換しよ」
『うん』
「あれ、これ誰の手?」
『あ、えっと…』
「もしかして、雨宮君?」
『う、うん…』
「へぇ…」

な、なんか含みのある眼差しだな…。でも、不思議とそのアイコンを変えようとは思わなかった。

「菖蒲もすっかり中学校生活を満喫して…」
『ちょっと、姉さん…!』
「はいはい、ごめんね。それじゃあ、洗い物、宜しく!」
『うん…』

自然に毎日太陽の所へ行くのが日課になっており、行く度に元気をもらえた様な気がした。でも、私は彼に何かを与える事が出来ただろうか。せめてもと思ってクッキーを焼いたのは良いけど…。

「菖蒲、お風呂良いよ」
『うん』

明日、聞いてみようか。何故、太陽が入院しているのかも。それを聞けば、どうしてあんなに辛そうな表情をするのか分かるかもしれない。

ーー翌日

『太陽、来たよ』
「菖蒲、今日は早かったんだね」
『うん、部活が休みだったんだ』
「そっか」
『ねぇ太陽』
「ん?」
『ずっと聴きたかったんだけど、太陽が入院しているのはどうして?』
「それは…」

言いたく無いのかもしれない。何故だか禁忌を犯してしまったかの様に思えた。

「僕は、小さい頃から身体が弱いんだ」
『え…?』
「だから、サッカーをやるのも本当は駄目なんだ」
『だから抜け出してた訳か』
「だって、サッカーは僕の全てなんだ」

彼の顔は本当に辛そうだった。でも、それと同時に羨ましさを覚えた。
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