第3章 Everyday!〈栗花落 菖蒲〉
太陽の手の隣に自分の手も置いて、言われるがままチョキの手にした。するとカシャリとカメラのシャッター音が鳴る。
『ん?』
「はい、これで完成」
『えっと…』
「因みに、僕のも追加しておいてから」
『えぇ…?』
「これが所謂ペア画って奴だよね」
太陽のアイコンも私のアイコンと同じになっていた。
『うわぁ…』
「えっ…」
『いや…こういうのとか…やった事ない…から…』
知らない内に顔に熱が集まっていく。駄目だ、本当はこういうのに耐性が無いのがバレてしまう…。
「可愛いね、菖蒲」
『は、はぁっ⁉︎』
「よしよーし!」
『ちょ、やめっ…!』
「あははっ!照れてる〜!」
『う、うるさいっ!』
頭を撫でる手を掴んで辞めさせた。こういうのは、本当に慣れてないんだって…!
『も、もう…帰る…』
「えぇ…」
『あ、後でラインでもメールでも話せるんだから良いでしょ!』
「菖蒲は素直じゃ無いなぁ…」
『じゃ、じゃあね!』
急いで病室を出た。姉さんは今日退院だったから、もう家に帰ってきている筈だ。
『はぁ…はぁ…』
何でこんなに息が切れてるんだ私…!早く帰らないと、姉さんが待ってる…!
『た、ただいま…』
「お帰り〜!菖蒲〜!随分と遅かったけど、もしかして雨宮君の所に行ってたのかな〜?」
『ね、姉さん…!』
「どうなの?ねぇ〜!」
『い、いや…その…!』
「ま、良いや。そう言えば、菖蒲!ラインってもうダウンロードした?」
『あ、うん。今日ダウンロードして…』
「じゃあ後で交換ね!スマホずっと家に置きっ放しだったからさぁ〜!暇だったんだよね」
『だったら私に頼めば…』
「だって菖蒲は雨宮君と一緒にいたいんでしょ?」
ね、姉さん何言って…!別にそういう訳じゃ無いのに…!
『ち、違うよっ…!』
「まぁ良いけど。ご飯、作っておいたよ、菖蒲」
『え、どうしたの…?』
「えっ、ひっど〜い!これでもちゃんと料理作れるんだからね!」
『そ、そうだったっけ…?』
結構不器用な記憶しか無いんだけど…。キッチンに行ってみるとかなりの異臭が…。
『うっ…』
「見て!ほら!」
見た瞬間驚愕した。余りにも闇鍋過ぎる…!こんなんじゃとてもじゃ無いけど口にしようとは思えない…!
『姉さん。全然駄目だよ』
「えっ…」
『作り直すから、姉さんはいつも通り洗濯物とお風呂宜しく』