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Diva!【イナズマイレブンGO】

第3章 Everyday!〈栗花落 菖蒲〉


何か熱中出来る事があるのが、とてつもなく羨ましかった。

『ごめん。本当は聞くか聞かないか、迷ってた。中途半端な状態で聞いちゃって…ごめん』
「ううん。本当は表向きでは検査入院って事になってるんだ」
『そっか…。本当の事を話してくれて、ありがとう』
「いつかは聞かれるとは思っていたんだ」
『…』

だから、あんなに辛い顔をしていたんだ。好きな事を目一杯出来ないって、苦しんでたんだ。

『太陽。きっといつかは退院できる』
「え…?」
『毎日…此処に来てあげるから。だから、ちゃんと治して』
「…」

彼は唖然とした表情で此方を見ていた。そしてすぐに彼は満面の笑みで、

「…うん!」

と言ってくれたので、こっちも急に安心してしまった。

「あ、菖蒲が笑った!」
『は…う、うるさいっ!』
「良いじゃん!菖蒲は笑ってた方が可愛いよ!」

可愛い可愛いって、そんな簡単に行って良い言葉じゃない…!もっと女の子らしくて、可憐で、華やかな…雪音みたい子が似合うんだ。

「…菖蒲?」
『え…?』
「どうかしたの?」
『あ、いや…』
「ねぇ、菖蒲も聞かせてよ。どうして時々そんな顔をするのか」

確かに、自分だけ聞いておいて此方の情報を開示しないっていうのはフェアじゃ無いし、もしかしたら太陽も何か知っているのかもしれない。

『春休みに…親友が…消えたんだ』
「消えた…?」
『遠坂 雪音って言うの。銀色の髪に翡翠の目。すごく可愛くて、花が咲いた様に笑う子だった。突然、行方不明になって…』
「僕は…聞いたことないな…。ごめんね」
『ううん。雪音自身、そんなにネットワーク広くなかったから、知ってる方が珍しい位なの』
「そっか」
『ごめん、暗い雰囲気にしちゃった』

雪音は、無事なんだろうか。死んではいないと思うけど…。

「そうだ。菖蒲!勉強教えてよ」
『え?良いけど…』

急にどうしたんだろうか。勉強教えて、なんて一番嫌いそうなのに。

「そう!ここわからなかったんだ」
『此処はこうして…』

でも、多分、太陽なりにこの場の雰囲気を変えたかったのかもしれない。

「僕も、テストの時は登校しなくちゃいけないんだ」
『じゃあちゃんと勉強しておかないと』
「うん、だから教えてよ。菖蒲」
『良いけど…』

お互いの事を良く知った日だった。だからこそ、変わらなくてはならないと、強く思った。
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