第3章 Everyday!〈栗花落 菖蒲〉
『知ってるの…?』
「確か同じクラスだったよ。へぇ…此処に入院してたんだ」
『わ、私帰るから…』
「ふぅ〜ん、菖蒲は私に隠して、彼氏のお見舞い?」
『ち、違うよ⁉︎彼氏とかじゃ…ないし…!』
「じゃあ、私が貰っても…良いんだ?」
『えっ…』
何…どういう事なの…?今、何がどうなって…!
「ふふっ…冗談!菖蒲は本当に分かりやすいなぁ」
『そ、そういうの良いんだって…!』
「菖蒲は、雨宮君の事…好きなの?」
『い、いや…そういうの…分かんない…し…』
「ウブだなぁ〜菖蒲は。ま、良いや!早くしないと、タイムセール始まっちゃうんじゃないの?」
『あ、そうだった…!姉さんもあんまり動きまわっちゃダメだからねっ…』
「はいは〜い」
姉さんに言い寄られて、言葉に詰まってしまった。私が…太陽を…?ないない…!だってまだ会ったばっかりなのに…!
『ああ〜もう…!遅くなっちゃった…!』
ーー翌日
「来てくれたか」
『で、私はどうすれば…』
「ファーストチームのマネージャーだそうだ。ドリンク、洗濯まぁ、諸々だな」
『分かった』
監督に挨拶に行ったけど、あんまり表情がわからない人だ。眼鏡を掛けていて、表情が読めない。そのまま宜しくお願いしますとだけ言ってマネージャーの仕事を始めた。
「手際が良いんだな」
『まぁ…毎日家でおんなじ事やってるから』
「成る程」
ピッタリ規定量決められている所は面倒臭いが、それさえ守ればなんて事ない。
「今日はこれで終わりだ!」
監督の声が鳴り響き、選手もまばらに帰っていく。その後、ボトルを洗い、洗濯もする。マネージャーは何気大変な仕事なんだろうな。
『よし…』
仕事を終わらせて、学校を出た。スマホを見るとメールが一件届いている。
〈太陽だよ!
今日は何時に来るの?〉
太陽からのメールに今から行く、と返して稲妻総合病院へ向かった。
『太陽』
「あ、菖蒲!大分遅いね」
『まぁ…マネージャーだから…』
「ねぇ、菖蒲はラインやってないの?」
『ライン?』
「そんな立派なスマートフォン持ってるならダウンロードすれば良いのに」
すると太陽が勝手に指紋認証でラインをダウンロードした。
『え、ちょっと…』
「これをこうしてっと…ほら菖蒲、此処に手を出して」
『え…?』
「いいから」
『う、うん…?』
「で、チョキの手にして」