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Diva!【イナズマイレブンGO】

第23章 Relaxation!〈遠坂 雪音〉


昔の自分が優れているからこそ、もう聞きたくないと耳を塞いで、遠ざけて来た。それが…私の弱さ。

『この前、熱を出した時に、夢を見たんだ』
「夢?」
『フェイって人に頼んで、昔の私の家族に会いに行く夢。剣城も…一緒だった』
「…!」
『ねぇ…あれは…現実なの?』

剣城は渋々頷いた。寝ている間は記憶の整理をすると聞くが、本当だったらしい。

『そっか』
「思い出したのか?」
『大体は…本当は覚えてる。細かいのは無理だけど…』

昔の自分を鮮明に覚えている。だから私はそれ程に嫌悪しているのだ。昔の自分も、今の素直になれない自分も。

『私が入院してた時、不思議に思わなかったの?』
「色々な人に聞いてはみたが、教えては貰えなかった」
『まぁ、そうでしょうけど』

私の病室に入れるのは限られた人だけだった。瑠璃さんとヒロトさん、そして菖蒲。最後に北大路家の人。私の存在はほぼ隠蔽されていたに等しい。北大路が意図的に隠した。理由は分からないけど。

『ごめん。あんたの事、冷たく当たっちゃって。でも、そうするしか…無かった』

私が別人格と知ったら、きっと誰もが離れていく、そう思った。

◇◇◇

目が覚める前、菖蒲という言葉だけが脳に焼き付いていた。

『んぅ…』
「雪音!目が覚めたの…?」
『貴方は…菖蒲…?』
「そう、そうだよ!」
『っ…』

菖蒲という人物から逃げた。きっと…私は拒絶される。私は…「いらない子」だ。夢で見た。私は必要とされなかった。母にも、姉にも。私の事を必要としてくれる人なんて…いない。

「どうしたの」
『触らないで…!貴方もきっと…私を拒む…!』
「拒まないよ。何年一緒に居たと思ってるの」
『覚えていない!貴方の事は…名前しか知らない…』
「それでも良いよ。また1からやり直そう」
『あ、やめ…』
「絶対に拒まないよ。どんな雪音でも、ずっと隣にいる」

◇◇◇

交通事故で怪我をした後、目が覚めたら菖蒲がいた。取り乱す私を怪訝に思う事なく、優しく抱き締めてくれた。けど、他の人は分からない。違う自分だと、使えない自分だと分かればきっと離れていく、そう思った。

『怖かったんだよ。彼氏と知ったのなら尚更。私を…拒むと思った。だから、剣城に会うのが怖かった』
「拒む訳ないだろ」
『その当時は…夢のせいで全部が信じられなかったんだと思う。怖い夢のせいで』
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