第22章 Flower!〈栗花落 菖蒲〉
「菖蒲…強すぎ…」
『なんて言えば良いんだろう…。こう…戦略っていうの?凄い好きだよ』
「じゃあ菖蒲って多分シンプルなオセロとか強いのかもね」
『戦略考えるの大好きだよ。昔軍事風のこういうゲーム凄いどハマりしてたから、ちょっとやりやすかったのかも。それに一応サッカーの事は分かってるし』
太陽がボロボロになってる様子を見ながら、若干嬉しげに話す。
「まだ寝るには早いし…何かやりたい事ある?」
『そうだな…』
折角家に来て、話す時間も沢山あるんだし、お互いの趣味とか好きな食べ物とか明らかにしておくべきなのでは?
『なんかさ、好きな食べ物とか私達あまり知らない気がするから、ちょっと踏み込んでみるっていうのは?』
「良いかも!」
折角同じ学校になれて、これから過ごす時間も増えるなら、知っていた方が良い様な気がして。
「あ、これ良さそう。100の質問」
『確かに。じゃあやってみよっか』
最初は名前、身長、体重(言わないけど)、血液型など優しいものだが、初恋いつだとか、告白した回数とか、大分踏み込んだ物になっている。
「好きな異性のタイプは?」
『うーん…何だろう。一緒に居て肩肘張らずに居られる人かな。自分を保つ為に偽ってなくて良いって思える人。太陽は?』
「僕はそうだな…優しくて、面倒見良くて、料理上手で、偶に可愛いヤキモチ妬いてくれる人」
理想のレベルが高い…。私とは殆どかけ離れている。料理位しか自信無いぞ私…。
『と、取り敢えず次行きますか、次!』
「うん」
『好きな季節…か』
「僕は夏かな」
『私は春』
「春、好きなんだね」
『太陽と会った季節だし…それに、アヤメの花が蕾の季節だから』
「蕾?」
『昔の人とかが言うでしょ?早く咲かないかなって思ってる期間が私は好き。それが楽しみなってるみたいで、活力になるっていうか。だから良く名所とかに見に行くんだよ』
母も、姉も、どちらも花の名前。姉はまぁ分かるだろうが、母の名前は桜。花言葉に基づいて付けられた名前。私の花言葉、というか花菖蒲の花言葉から付けられたのだ。「優しい心」という物から取ったらしい。蓮華は「心が和らぐ」。どちらも私達を象徴しているのだとか。優しい心には全くもって心当たりは無いが。
「じゃあ今度一緒に行こうよ!」
『うん』
結構今日の質問攻めで相手の事を良く知れたと思う。