第22章 Flower!〈栗花落 菖蒲〉
太陽を…誰にも取られたくない。
『行こう』
「え、う、うん」
太陽の家に着いてからは、早めにご飯を済ませて、早めにお風呂に入ろうと思ったのだが…。
『…ん?』
「どうかしたの?」
蓮華…仕組んだな。私がシナ◯ロールのパジャマを持っていくの恥ずかしいって聞いたから…!くそう…言わなきゃ良かった…!
『な、何でもない…!』
ちゃんと普通のパジャマ持ってきたつもりだったのに…!多分私が寝てる間に仕込んだんだ…。
『お、お風呂先で良いの?』
「勿論。男が入った後は嫌でしょ」
『そんな事は無いんだけど…ま、まぁ良いや…失礼します…』
こんなの着て太陽の前に出れないぞ…!どうするんだ…!いや、腹を括れ菖蒲!羞恥心を限界まで抑えるんだ…!
ーー入浴ーー
お風呂から上がって、白い例のパジャマを手に持ったまま狼狽る。着なければ始まらない。そしてお腹が冷えてしまう。
『よし…』
諦めてそのパジャマを着て、太陽の部屋へと戻った。
「あ、菖蒲。おふr…」
『な、何?』
「あのさ…可愛すぎて今すぐ抱き締めたい」
『え、えぇ…』
太陽の勢いは留まる事を知らず、むぎゅむぎゅと胸の辺りに顔を埋めてくる。
「菖蒲…柔らかい…」
『太陽…変態』
「…!い、今すぐお風呂入ってくる!」
目にも留まらぬ速さで部屋を出て行ってしまった。なんか…変な事を言ってしまった…記憶しかないが。それでもちょっと勢いが強すぎたかな。
『今の内に』
蓮華に怒りのLINEを送りつける。絶対に許さん。これは流石に恥ずかしいです。だって、ちゃんとお尻に尻尾だって付いてるんだぞ!再現度高いやつなんだからな!
「お待たせ!」
『お帰り』
大分落ち着いたのか、いきなり抱きついてくる事はしなかった。
『落ち着いた?』
「大分頭が冷えた…」
『宜しい。じゃあ気を取り直して…何する?』
「菖蒲とゲームしたい!」
『わ、私多分そんな得意じゃないよ…?』
「大丈夫!多分菖蒲も得意だと思うから」
えぇ…ゲームは正直苦手であって、多分ボロ負けするのが見えてる。
「サッカーのゲームだよ」
『もしかしたら出来るかも』
「指令を振るだけなんだ。結構イケると思う」
『分かった。頑張る』
その後、ゲームに熱中してしまい、太陽の方が慣れている筈なのに、何故か私がドン勝してしまうという事態になってしまった。