第20章 Ripple!〈栗花落 菖蒲〉
「菖蒲、はい」
『あ、ありがと』
ちゃ、ちゃんと好みを分かっている…!私がイチゴとチョコが好きという情報を何処から取り入れて…⁉︎
『美味しい…』
「菖蒲、確かイチゴとチョコ好きでしょ?」
『うん、よく分かったね』
「蓮華ちゃんに聞いた」
『あ、そういう事か』
確かに、蓮華なら私の好みも知ってるだろう。
『ま、でも…』
彼氏なら…少し手古摺りながら私の好み見つけて欲しいかな。なんて、わがままになるから言わないけど。
「ん?」
『何でもない』
「菖蒲の、頂戴」
『あ、ちょっ…』
パクッと一口。一口だけど、関節キス…になると思う…。
「美味しい」
やっぱり、眩しい笑顔には敵わないや。
『私も欲しい』
「んっ…」
太陽が油断した隙に太陽のバナナチョコを貰った。
「菖蒲、付いてる」
『え、何処?』
「ちょっと待って…」
頬に付いたホイップクリームを拭い取ってそのまま指に付いたクリームをペロっと…。
『…!』
顔がみるみる赤くなっていくのが、鏡を見なくても分かる。本当に、顔が熱い。どうしよう…治らない。
「顔真っ赤」
『だ、だって…』
そのまま、近付いてくる顔に反射的に目を瞑った。1秒も経たない内に唇に柔らかい感触が付いてくる。
『んぅ…』
「やっぱり…こっちの方が甘い」
『馬鹿。馬鹿』
「何も二回言わなくても…」
『恥ずかしい…でしょ…』
しかも誰か見てるかもしれないのに。
「あぁ…もう…」
『?』
「可愛すぎ…」
ああ、これ、側から見てたらきっとバカップルかなんかだと思われるんだろうな…。
『も、もう帰ろ…?』
「うん…」
お互いの家の方向は分かっているので、それらしき道を歩き始める。新しい高校の制服は新品という言葉がぴったりで、汚れなどある筈もない。セーラータイプで胸元には可愛らしいリボンが付いている。ベージュの生地に焦茶の襟とリボン、そしてプリーツスカート。割合に可愛い方なのでは無いだろうか。
『クレープ、美味しかったね』
「うん。今度またスイーツ巡り行く?」
『部活決まったら、行こっか』
「久し振りだね。こうやって菖蒲と出掛けるの」
『まぁ…受験だったし、仕方ないんじゃ無い?』
「ねぇ菖蒲」
『ん?』
「土曜日、会える?」
『うん、空いてるけど…』
「僕の家、泊まりに来ない?」
お、おぉ…。凄い提案が…!