第20章 Ripple!〈栗花落 菖蒲〉
新学期。どんなクラスになるのかなと思ったら…私のクラスのメンツは…かなり濃いめの様です。知っている人が余りに多すぎるというか…。ざっと並べると…
雪音
剣城君
雫ちゃん(さっき知ったけど)
蓮華
そして…
「菖蒲!」
『太陽』
まさかの太陽と同じクラスという奇跡。受験期から全く話していなくて、顔を合わせるのもめっぽう久し振りと言いますか。
「久し振り!会いたかった!」
『ちょ、ちょっと…煩い』
「素直じゃ無いなぁ。菖蒲は」
素直じゃないというより、所構わずイチャつくのを避けていると言って頂きたい。
『やっぱり太陽はサッカー部?』
「勿論!推薦で入ったし!」
ああ…成る程。太陽にはサッカーがあったしな。10年に一人の天才と言われるだけの能力を備えているのだろう。
「ねぇ菖蒲!寄り道して行こうよ!」
『ちょっと待って…』
蓮華に連絡をして、今日は太陽と帰ると言っておいた。蓮華の方も部活の友達と帰るらしい。因みに蓮華は中学からバドミントンが得意で、高校でも続けるつもりのようだ。
「菖蒲は何部に入るの?」
『まだ決まってない。中学の時みたいにマネージャーやっても良いけど…パラレルワールドの私がやっていたダンスっていうのも悪くないかなって思う』
ただ…ダンスに関しては完全初心者だし…自信あるかって言われればないに等しいけど。
『まぁ、取り敢えず見てからかな』
「菖蒲もサッカー部だったら、毎日一緒に帰れるんだけどなぁ…」
『別に同じ部活じゃなくても一緒に帰れるでしょ』
隣を見ると、顔面から光のエフェクトが見えそうなくらいに輝いている。
『う、うるさい…!』
「何も言ってないんだけど⁉︎」
『行動が煩い!』
「理不尽!」
照れ隠し位使ったって良いでしょ。唯でさえド直球に褒められる事と、何かを察してニヤニヤされるのは慣れてないんだから!
『は、早く行くよ!』
「はいはい」
歩いていると、クレープのお店を見つけた。受験期は本当に追い込んで勉強して来たから、あんまり贅沢もしていない。春休みは家でぐうたらしてた事もあったし…まぁ自分への入学祝いって事で。
「クレープ、食べたいの?」
『うん』
「じゃあ、一緒に行こう!」
手を引いて、クレープの屋台目掛けて走っていく。暫く会って無かったから、耐性が無くなったのか、格好いいと思ってしまうんだよなぁ。