第18章 Exchange!〈栗花落 菖蒲〉
「どうしたの?菖蒲」
『ううん、何でもない』
言ったら、太陽は私を突き放す?こんな女だったって失望する?私って…こんな人だったっけ…?
『送ってくれて、ありがとう。明日からは、また姉さんと入れ替わるから…。もう、会う事も…』
何を言ってるの…⁉︎私は…姉さんと太陽は、お似合いで…!それで…!
「菖蒲?」
『何でもないよ…!じゃあね』
何だか苦しい。こんなに苦しい想いをしたのは、いつぶりなんだろう。こんなに締め付けられるのは…。
「菖蒲ー!お帰り!どうだった?新雲は!」
『もうこんな事しないで。姉さん』
「え〜?どうして?太陽君とだって…」
『私に見せ付けたかったの⁉︎太陽と仲良しだって?自分のものだって言いたかった訳⁉︎』
「あ、菖蒲…?別に私そんなつもりじゃ…!」
『無自覚だからセーフ?いつもいつもそう!何でもわざとじゃ無ければ許されると思ってるなら、随分とお花畑な脳してるみたいだね!そんなんだから帝国だって落ちたんじゃないの⁉︎』
何言ってるの…?私、こんな事言いたかった訳じゃ無かったのに…!
「何…それ。菖蒲は私の事そんな風に思っていたの?」
『…そうだよ』
「っ…!」
『…頭、冷やして来る』
姉さんの顔もまともに見れなくて、家を飛び出した。駄目だ、このまま姉さんを前にしたら言ってはいけない事を全部溢してしまいそうで。
『はぁ、はぁ…』
何で、あんな事言っちゃったんだろう。どうしてこんなに胸がムカムカしてるの…?
『どうしたら良いの…?』
訳が分からないまま走ってきてしまって、結局迷子になってしまった。此処、何処だろう。全く見覚えの無い所だし…。鞄に物も詰まったままで重いし、これ以上はちょっと走れそうにも無いし…。
ピピピピ
携帯が鳴る。姉さんからだった。申し訳無いけど、頭がグチャグチャの状態じゃ、また姉さんに酷い事を言ってしまいそうで怖い。一時の感情程怖いものは無いと思い知った瞬間だった。
『あ…』
姉さんの通話を拒否した後にかかってきたのは、太陽からだった。太陽とも何となく話したく無い…。私、変だ。この頃急にイライラし出したり、具合が悪くなったりと、変な調子が続いている。
〈お願い、菖蒲。電話に出て〉
太陽からのラインだ。メッセージでは話せない内容なのかな。そうだとしても、私には電話に出る勇気はない。