第17章 Loss!〈遠坂 雪音〉
『帝国と雷門の人数を合計すると、2000人を超えます。互いの中学のキャパシティでは明らかに足りないでしょう。其れ程の人数を収容出来る会場が必要だと考えます』
「そうでしょうね。雷門でも足りないのは明らかです。混雑が予想されるでしょう」
『又、他校の生徒や保護者も来ると考えれば、更に考えなければなりません』
「そうですね…。近くにその様な大きな会場はあるでしょうか…」
『少し、近くを見てみましょうか』
地図を見てみるとこの辺りはイベントホール等が多い。これなら…。
『イベントホールを貸し切って見るのはどうでしょうか』
「ですが、殆どのホールは1年より前から受付を開始する筈です。大きな会場程難しいのでは無いでしょうか」
「遠坂」
『何でしょう、総帥』
「俺に考えがある」
『…?』
「場所の件は俺に任せてほしい。今日は取り敢えず此処で解散としよう」
『分かりました。それでは今日はこれで解散とします。次回は帝国学園でお待ちしています』
会場を取るのも楽じゃ無いなぁ…。まぁ良いけど。自分で立候補して生徒会長になったんだし。
「雪音、サッカー部見て行かなくて良いの?」
『今更行った所で私は覚えてないから』
「そうだけど…」
『その剣城 京介って人もサッカー部なんだっけ?でも…本当に何も覚えてない』
「…分かった。行こっか」
『うん』
よく性格が変わったと言われるが、人に聞く限り、前の私のキャラは私は嫌いだ。あんなにウザったいキャラはもう二度と御免。
「私、用事があるから。先に帰っていて」
『分かった』
もう一度軍帽を被り直して、歩き始める。しかし…雷門も帝国に劣らず大きい学校だ。両校共にサッカーの名門として知られて居るが、雷門は革命の根本として毎年入学希望者が後を絶たない。
「雪音…?」
呼ばれて振り返ってみれば、何処かで見た事ある様な人が驚いた様な顔で立っていた。
『何方ですか』
「覚えて…いないのか?」
『すみません。覚えがありません』
「俺は、剣城…剣城 京介だ!」
『…っ!』
私が、昔付き合っていた人…。良くも、そんなウザったい人を好きになれたもんだ。私だったら絶対お断りなのに…。
『あんな私を好きになるなんて…貴方も物好きなんだね。でも、諦めて。私はもう、あんな自分は大っ嫌いだから』
「雪音…」
もう、貴方と関わる事も…無い。