第2章 Darkness!〈遠坂 雪音〉
『えっと…』
「さーて、そろそろ上がろっか。迎えにくる前に朝ご飯も食べたいでしょ?」
『え、あ、はい…!』
「髪乾かしてあげる。こっちおいで」
『え、あの…?』
「い〜からい〜から」
そのまま麻乃さんに濡れた髪の毛を乾かしてもらった。
「すごーい!めっちゃ髪質いいね!」
『そ、そうですか…?』
「うん、それに銀色の髪はすごく雪音ちゃんに似合ってるよ」
『おんなじ事を言われました』
「誰に?」
『吉良 瑠璃さんという人です』
「…!」
『どうか、しましたか…?』
「あ、ううん、何でもない!…で?」
『私が預けられたお日さま園という所の人で…私がこんなに話せるようになったのも、その人のお陰でした』
「…そっか」
ずっと…人が怖かったけど…この人のお陰で、人と話せるようになった。人が怖く無くなった。
「…乾いたよ!それじゃあ、朝ご飯食べに行こう」
『は、はい!』
瑠璃さん達は…今頃私を探してくれているのだろうか。菖蒲ちゃんもきっと心配してるだろうなぁ。私は…色んな人に迷惑をかけてばっかりだ。
「はい、召し上がれ」
『お、美味しそうです…!』
「まぁまぁ、食べてみなよ」
『は、はい』
出してくれたのはかなり立派な朝食で。とてもびっくりしてしまった。
『美味しいです!』
「良かった良かった!」
『凄いです!』
「褒めても何も出て来ないぞ〜」
それでも、嬉しそうに笑う姿は本当に素敵だった。きっとこんなに綺麗に笑う人ならもう素敵な人見つけているんだろうなぁと思ってしまった。
『あ、あの…麻乃さんは彼氏とか、いらっしゃらないんですか…?』
「ん〜いるよ?」
『えっ…!』
「知りたい?」
『知りたいです!』
「ん〜また今度ね」
『え、気になりますよ〜!』
「ほら、早く食べないと時間無くなっちゃうよ!」
『は、はい!』
急いで出された朝食を食べた。正直此処で何が起こるのか不安だったけど…麻乃さんが優しく接してくれるから、少しだけ安心した。
「それじゃあ、戻ろうか」
『はい』
医務室に戻ってきた。暫く麻乃さんと話していると、昨日の男の人がやってきた。
「行くぞ」
『は、はい…』
「雪音ちゃん」
『はい…?』
「諦めちゃ…駄目だよ」
『え…?』
「ほら、行くぞ」
『あっ…はい!』
最後の麻乃さんの言葉…何か変だった。もしかして…これから起こる事を知ってるの…?