第16章 Miximax!〈遠坂 雪音〉
『案外すぐにミキシマックスできたので、良かったです』
「そうか…。それで誰とミキシマックスしてきたんだ?」
『内緒です』
「…」
な、何もそんなに睨まなくったって…。でも、まだ言う時じゃないと思ってる。
「帰るか」
『はい!』
明日はまたタイムジャンプする。それも絵本の世界に。絵本だから「タイム」と言えるのかよくわからないけど…。
「そういえば、その格好は?」
『ああ、タイムジャンプした所で着付けて貰いました。そのまま現代に戻ってきてしまったので…すっかり忘れてました…』
「ちょっとそのままな」
そのまま携帯のカメラでカシャカシャと写真を撮られた。
『あ、あの…剣城君…』
「京介」
『京介君…これは…』
「よし、行くか」
『いや、その…』
何だか一瞬で終わったんだけど…何だったんだろう、あの撮影会は…。
『送って頂いて、ありがとうございました』
「気にするな。また明日な」
そう、此処から事件が起こったのだ。
ーー未来
『チーム、京介君と一緒ですね。それに、キャプテン頑張って下さい』
「あ、ああ…」
『いつでも力になります。一緒に頑張りましょう』
「…」
やっぱり元気ない…。京介君はキャプテンだって出来る筈なんだ。心配しなくたって良いのに…。
「遠坂」
『はい、鬼道監督』
「お前には最初にはベンチでいてもらう」
『分かりました』
私はそれで良い。皆を見極めて、必要な所で出られれば。もうすぐ試合は始まってしまう。もたもたしている暇はない。
「行ってくるぜよ!」
「雪音」
『皆さん、頑張って下さい』
「雪音!ウチに任せるやんね!」
「僕も、行ってくる」
『頑張って下さいね。黄名子ちゃん、フェイ君』
大丈夫だよね。皆なら。大丈夫、だよね。
「試合開始ー!」
試合が始まるなり、異様な光景だった。ザンは動かない。京介君が斬り込んでいく。けれどキーパーに止められるのを何回か繰り返し、挙げ句の果てにはザンがパワープレーに出てきた。
『っ…!』
「落ち着け、遠坂」
『許せません…こんなの…』
京介君の足が…!やだ、これ以上傷付けないで…!
「遠坂、交代だ」
「まだやれます!まだ…!」
『京介君』
駆け寄るとかなり足が腫れているのが分かる。この人は、ずっとフィールドサッカーをしていたいという熱い気持ちがある。でも、このままじゃ…。