第16章 Miximax!〈遠坂 雪音〉
あっという間に着物を着せられ、見性院の元へ連れてこられた。
「それで、貴方達の名前は」
『遠坂 雪音です』
「栗花落 菖蒲です」
「成る程。それでは詳しく話して頂きましょうか」
『その前に、確認をさせて頂きたいのです』
「何でしょう」
『貴方は見性院殿で間違いありませんか』
「ええ。間違いなく私です」
良かった…合ってた。これで間違ってたら本当に笑えないよ…。
『まず、私達は未来からやってきました』
「未来…?」
『信じられないでしょうが…本当にそうなのです。だから、これからの日本がどうなるかを知っています』
「分かりました。貴方達が未来から来たという話も信じましょう」
『どうしてですか…?どうして、私達を信じるんですか?』
「貴方の目が真っ直ぐだからです。曇りがなく、迷いもない」
確かにそうかもしれない。最近、ずっと守る為に戦ってきた。守る対象は、きっと剣城君だと思う。剣城君を守りたい。そんな想いがあるから。
「貴方に力を貸しましょう」
『え、大した話もしてないのに…』
「私は、生涯夫を支えるつもりです」
『…』
「それはきっと、愛情という気持ちから来るものなのでしょう。貴方達も心当たりがある筈です」
こんなに誰かを好きになるなんて事、今までの私には無かった。だからこそ、こんな気持ちが止め処なく溢れてくる。好き、守りたいって気持ちが。
「そこにじっとしていなさい」
『は、はい!』
目を瞑っていると、凄い力が注ぎ込まれているのを感じた。これが、太陽君の時の様な…強制ミキシマックス…。
「相性は抜群の様ですね。さぁ、行きなさい。貴方を待っている人がいる筈です」
『はい!』
「行こう、雪音。って…この着物は…」
「構いません。持って行きなさい」
『ありがとうございます』
時空設定をして、また現代に戻ってきた。
「雪音!」
『あ、剣城君…!』
「先帰ってるよ、雪音」
『はい』
新たな力が宿って、少し強く慣れた気がする。でも、この力を使いこなせるのは、私次第。
「心配した…」
『剣城君、苦しいです…』
ぎゅうーっと苦しい位に抱きしめてくるのに、少し嬉しいと思ってしまう。
「どうして何も言わないで…」
『大介さんに、すぐに発つ様に言われて…。だから剣城君にいう時間も無かったんです。すみません…』
「取り敢えず、無事に戻ってきただけで良い」