第16章 Miximax!〈遠坂 雪音〉
あの後、覇者の聖典を奪われてしまい、挙げ句の果てに大介さんも封印されてしまった。それから時空最強イレブンを探す、というかそれらしい人を見つけて力を貰うと言うべきか…。
「遠坂」
『は、はい。大介さん』
「お前に頼みがある」
『な、何でしょう?』
「お前にはある相手の力を手に入れて欲しい」
『ある相手?』
「その名も、見性院じゃ!」
見性院…。実の名を「千代」または「まつ」とも言うらしいが、良妻賢母と言われている。
『分かりました』
「皆を連れていくわけには行かないからな。助っ人を一人用意した」
『?』
「手伝うよ。雪音」
『菖蒲ちゃん!』
菖蒲ちゃんが居るなら、きっと大丈夫!
「そうと決まれば、すぐにタイムジャンプじゃ!」
『え、えぇ〜⁉︎』
「まぁまぁ、ちゃっちゃと行って、ちゃっちゃと帰ってこよう?」
『そうですね!』
私のタイムブレスレットなら、二人一緒にタイムジャンプ出来る。
「行こう。雪音」
『はい!』
目を瞑って、時空設定をする。もう一度目を開けると、見慣れない景色が広がっていた。
「此処が…見性院が生きた時代…」
『みたいですね』
「どうやったら会えるんだろう」
「うーん」
誰か迷ってるのかな…?凄いうんうん唸ってる声が聞こえるんだけど…。
「ふむ…」
「どうかなさったのですか」
「いや、その…」
もしかして、この状況って、内助の功の馬と黄金の時の話なんじゃ…。
『菖蒲ちゃん。あれを見て下さい。あれってもしかして、山内 一豊と見性院ではないでしょうか』
「確かにそうかも」
女性の方が何かを差し出している。あれが恐らく、馬を買う時に足りなかったお金なのだろう。
『着いて行ってみましょう』
「うん」
二人の後を尾行するという形で着いて行ってみる。
「先に行っていて下さいませんか。用事を思い出してしまいました」
「分かった」
まって、近づいてくる…。これってもしかして、バレちゃった…?
「貴方達、一体何をしているのです」
『うっ…』
「見つかっちゃった…」
「何をしているのかを聞いているのです」
『実は…貴方の力を借りたくて来ました』
「どういう事です?」
『え、えっと…』
「取り敢えず、事情は分かりました。着いて来なさい」
有無を言わせない顔に渋々着いていかざるを得ない。
「この者達に着物を」
「かしこまりました」