第15章 Cooperation！〈栗花落 菖蒲〉

「うん」
『馬鹿。本当に心配した…。怖かったんだから…！このまま戻って来なかったらどうしようって…！』
「ごめん。怖かったよね」
『うん…』

こんなに安心するのは、多分太陽だから。でも、私は…。

『そ、そう言えば…雪音は⁉︎』
「多分、剣城君と一緒にいるんじゃないかな」
『そっか…それなら良かった』
「でも、僕は今、菖蒲の側に居るから」
『え、な、何…？』
「あの時の続き、していい？」

そんな風に言われたら、断れる筈無いじゃないか。知ってるんでしょ？太陽だったら、全部。

『ばか。その前に何か言う事あるんじゃないの？』
「あ…」
『本当、いつも肝心な所でおっちょこちょいなんだから』
「それは菖蒲もでしょ」
『言えてる』

やっぱり、太陽は分かってくれてた。学校じゃいつも「お母さんみたい」「完璧」「しっかりしてる」なんて外面ばかり。実際クールでもなんでもないし、結構大事な所で外すタイプ。

「菖蒲、好きだよ」
『うん、何となく分かってた』
「もう少し驚いてくれても良いと思うんだけど」
『だって、あんな事されたら誰だって分かるでしょ』
「聞かせて、菖蒲の返事」
『聞きたい？』

なんて意地悪。偶には私から意地悪しても良いでしょ。

「菖蒲がやるのには100年早いよ」
『え、あ…』

押し倒されて、眼の前に太陽しか見えない。

「返事、聞かせて？」
『………好き』
「よく出来ました」

やっぱりダメだ。太陽と一緒にいると、いつもの私じゃなくなってしまう。

『ん…あっ…ちょ、太陽…！』
「やっと…だね」
『病院であった時から、何となく引っかかる人だとは思ってたけど。まさかこんな人だったとはね』
「だって、一目惚れだったから」
『でも、太陽で良かった』
「何で？」

言いたくなかった。だってこんなの、私のキャラじゃないから。いつか心に余裕が出来たら言ってあげないこともないと思うけど。

『何でもない』
「そこまで言われたら気になるから」
『内緒』
「えー」

立ち上がって、布団に入る事を決意した。

「こうやってみるとさ、菖蒲、下履いてないみたいだよね」
『スケベ』
「そ、それは…」

確かに、今の格好は勘違いされがちな格好だけど…。ダボダボなパーカーにショートパンツ。ただでさえメンズ物だから萌え袖みたいになってしまっているけど。

『もう…しょうがないなぁ…』