第15章 Cooperation!〈栗花落 菖蒲〉
太陽達の乗ったキャラバンは、いつまでも戻って来なかった。思えば、何処の時代に行くとさえも聞いていない。あのまま、引き留めておけば良かったのだろうか。分からないまま、過ぎていく時間が何より苦痛だった。
「どうした?」
『ん、あ、あぁ…いや、別に何も…』
「の割には最近ぼーっとしてる所をよく見るけどな」
『気のせいでしょ』
雅野君の言葉をスルーして、そのままマネージャーの業務をこなした。あれから、結局1ヶ月程は帰ってきていない。雪音も、太陽も。どうして、皆私を置いていくの。
『やっと終わった…』
「送って行こう」
雅野君が校門前に立っていた。こんな時間まで待ってたのか…。
『ううん、一人がいい』
「だが…」
『一人に、させて欲しい』
「何かあったら、連絡しろ」
『ありがとう』
今は、極力誰かと一緒にいたくない。一人で考えていたい。別に答えがあるわけでも無いのに。
『ん…?』
誰か…いる?凄い後ろから見られてる気がする。いや、気のせい気のせい…。こんなちんちくりん見て何も良い事ないし…。念の為、隠れてやり過ごすか。
「どこかなぁ〜?菖蒲ちゃ〜ん?」
知らない人の声…?何で私の名前知ってるの⁉︎それに、このままじゃ多分、すぐ見つかる。どうしよう…。
「菖蒲」
『っ⁉︎』
「大丈夫。僕だよ。太陽」
『!』
二重の驚きで声が出ない。でも、すぐそこに変質者いるし…。どうすれば…。
「こっち!走って!」
『へっ⁉︎』
腕を引かれて、路地を抜ける。足音に気が付いたのか、変質者も追ってくる音が聞こえる。
「コンビニで一回やり過ごそう」
『で、でも帰りは!』
「大丈夫」
全然大丈夫じゃないってば!こんな状況初めてだし、何より怖くて足も上手く動かないし…!
「着いた!」
『ま、まずは通報しよう…!』
鞄から携帯を取り出して、警察に連絡した。案外子供だったから信じて貰えないとかあるかなって思ったけど、そんな事なかった。
『あ、ありがと、太陽…』
「ううん。偶々帰る途中に菖蒲が震えてるのが見えたから」
『だ、だって、本当に怖かったし…』
「もしもし、蓮華ちゃん?うん、太陽。菖蒲ちゃん預かって良いかな?」
『は?え、ちょっと!』
「うん、それじゃあ明日丁度土曜だし、明日のお昼頃には菖蒲お返しするから!宜しく!」
『だから、何言ってんの⁉︎』