第15章 Cooperation!〈栗花落 菖蒲〉
「凄いね…。一瞬で終わっちゃった!」
『こういうのって、慣れが強いんじゃない?お家でもやってみるとか、色々工夫のしようがあるものも多いし』
「凄いんだね」
『え』
「だって、菖蒲ちゃん凄くお姉さんみたい」
確かに良く言われる。実際ちゃんとしてるかと言われれば、結構抜けてるところもあるし、お姉さんとは程遠い。
『ありがと』
「菖蒲ー!タオルー!」
『はいはい。ってか、自分で持ってこなかったの?』
「だって、菖蒲が来てくれるって分かってたから」
時々こういう太陽の無邪気さに調子が狂う。私じゃない私が自分の中に居座ってるみたいで、何だか落ち着かない。
『はぁ…』
「太陽君と仲良いんだね」
『まぁ…色々あったし』
「へぇ…!」
病院で出会ってから、結局会わない日なんて殆ど無い。腐れ縁?いやいや、そこまで行かないか。
「よし、これからタイムジャンプだ!」
『ん?』
「あれ、言ってなかったけ?」
『全く聞いてないし、準備も何もしてないんだけど』
「あはは…」
『はぁ…このままじゃちょっと無理だし、今回はちょっと無理』
「え…」
『言っとくけど、私が時空移動するには少なくても親の許可ってもんが必要なの。ただでさえ時空じゃなくたって必要なんだから。両親どっちも仕事中だから邪魔出来ないし、だから葵ちゃんに任せた』
「任された!」
『太陽、ハメはずさないか見てやってね』
「勿論!」
皆が深妙な顔付きでキャラバンに乗って行く。太陽も少し心配そう。
『ねぇ、3分間だけ時間貰っていい?』
「うん、分かった。言っとくね!」
『ありがと。太陽』
今度は私が太陽の手を引いた。あんたがそんな顔付きなんて、似合わないんだから。
「菖蒲?どうしたの?」
『太陽、ちょっと緊張してる?』
「バレた?」
『別に…いつもの太陽らしくないから、尻引っ叩いてやろうと思って』
「じゃあほっぺにチューとか…」
多分、いつもの太陽で、いつもの私だったなら、断っていたんだと思う。
『ん』
「え」
何でこんな私になっちゃったんだろうなとか、凄く思ってる。こんなの、知らない。
「そんな事されたら、止まらなくなるよ。菖蒲」
『え、ちょ、んっ…んぅ…!』
な、ん?え?今、何がどうなって…?
『あ、ん…た、いよ…!』
「充電完了!」
『は⁉︎』
「言ってくる、菖蒲!」
そう言ったっきり、彼は…。