第15章 Cooperation!〈栗花落 菖蒲〉
太陽達に記憶を取り戻して貰ってからすぐの事だった。
「菖蒲。雷門のマネージャーとして入って欲しいんだ」
『…は?』
「いや、何もそこまで怪訝な顔しなくても…」
太陽からいきなり告げられて驚いた。雷門には既に3人のマネージャーがいる。私は必要無いだろう。
「僕は、菖蒲に来て欲しい」
『そんな事言ったって…マネージャーばっかり居たってしょうがないでしょ』
「実は、マネージャーが一人体調を崩して、手が足りていないんだ」
『2人も居て手が回らないの?』
「そ、それは…」
『分かったから、取り敢えず状況を見せて』
「うん!」
何で嬉しそうなんだ…。
「菖蒲、なんだよね」
『何言ってんの。当たり前でしょ』
「だって…」
『ごめん。心配させた』
「うん。やっぱり菖蒲って男前」
『嬉しくない』
男前って何よ。男前って。
「着いた!」
『流石。でっかいね。雪音もいるの?』
「その筈だよ」
『じゃ、行きますか』
帝国の制服のまま雷門のサッカー党に乗り込んだ。
『こんにちは』
「菖蒲ちゃん!来てくださったんですか!」
『太陽から人手が足りないって聞いたから』
「ありがとうございます!」
「貴方が栗花落さん?」
『菖蒲で良いよ。手伝える事、何かある?』
「ごめんね、実質一人みたいなものだから…」
『少なくとも二人いるのでは?』
「う〜ん、マネージャーと言うより、天馬の親衛隊って言えば良いのかな…?」
『成る程』
「もう一人もほぼ写真撮る事が仕事だし…」
『何それ。マネージャーなの?』
「あはは…」
帝国だってマネージャー足りなくてめっちゃ大変なのに、雷門ってこんな感じなんだ…。結局一年の子に押し付けているようにしか思えない。
『じゃあ洗濯とドリンクやっておくから、残りの仕事お願いしていい?』
「えっ?そんなにやってくれるの?」
『まぁ、大人数相手するのには慣れてるから』
帝国のクソ程多い人数の洗濯、ドリンク諸々…全部私一人で請け負っている。帝国は大変だと分かっているからマネージャー志願する人だって居ない。恐らく私が3年になってもこの調子でだろう。
『終わったけど、他は?』
「え?」
『終わったんだけど、何か仕事ある?』
「あ、うん、私これで終わりだから!それにしても凄く早いんだね」
『帝国では少なくともこの5倍は相手してるから。まだ簡単な方だよ』