第14章 Tears!〈遠坂 雪音〉
手にはレースの手袋。ぴっちりした素材なのはアームドならではなのかもしれない。
『こんにちは、ロボットさん。残念ながら、貴方達に負ける訳にはいきません』
アナトの力を感じる。もっと力を解放したがっている。そうだ、もっと…もっと…!
『マザーパレス!』
初めてのブロック技。成功したのがすごく嬉しい。そして…ボールを繋ぐんだ…!
「雪音!そのまま上がってこい!」
『え?』
「速く!」
『は、はい!』
パスを出すつもりだったが、そのまま交わして昇っていく。
「行くぞ、雪音!」
『え?え⁉︎』
「合体技だ!」
『は、はい!』
アームドした状態で天高く登る。瞳を見ただけで、何となく剣城君のやりたい事が分かった気がした。会ってそんなに経ってないけど、それでも君のサッカーだけは良く知ってる。
『「ヘブンリー・ボウ!」』
決まった…!ちゃんと出来てる…!
『剣城君!決まりましたね!』
「ああ!」
『二人の初合体技でしたが、ちゃんと出来ましたね!』
「そうだな」
そろそろ限界だったので、アームドを解いた。
「これで試合終了です」
『あっ…』
「大丈夫か!」
少し疲れてしまったのかよろけてしまった。
「急ごう!追っ手が来る前に此処を離れるんだ!」
「少し我慢しろ…!」
『あ、あのっ…剣城君⁉︎』
「首に腕回せ!」
『は、はい!』
これは所謂お姫様抱っこ…という物なのでは…⁉︎というか顔が近くて目を開けていられないよ!
『こ、此処からは大丈夫です!自分で梯子も降りられます!』
「そうか」
下ろして貰って、急いで、そして慎重に梯子を降りて出口へ向かった。博物館から出て、急いでキャラバンに乗り込む。そのまま天馬君のお家に行く事になった。
『すみません。少しお時間を頂いても宜しいですか?』
「どうかしたの?」
『お日さま園に戻って少し話をしてきます。すぐに戻って来ますので…』
「分かった」
「送っていくか?」
『いえ、大丈夫です。比較的此処から近いですし、20分もしないで戻ってくると思いますから』
「気を付けてね」
『はい』
鞄を持ってお日さま園へダッシュした。
『只今帰りました!』
「雪音。まだサッカーやってんのかよ」
『はい。皆さんには元に戻って欲しいので』
「ふ〜ん…」
『ヒロトさんと瑠璃さんは?』
「そっち」
『ありがとうございます。狩屋君』