第14章 Tears!〈遠坂 雪音〉
「実は日本代表がプロトコルオメガで、俺達はアメリカ代表として応戦したんだ。だけど…」
「円堂監督が…封印された」
『そんなっ…!』
「だから先ずは覇者の聖典を手に入れて、僕達は強くならなくちゃいけない」
『その為に未来に行くと仰っていたんですね。分かりました』
「ああ、もうすぐ出発だ。準備は良いか?」
『はい!』
キャラバンに乗り込んで空いてる席に乗り込もうとすると。
「雪音」
『剣城君!』
「名前」
『あっ、京介君…』
「此処、来い」
『はい!』
天馬君達は未来に興味津々の様だけど、フェイ君は渋っていた。きっと誇れる様な現状では無いか、トラウマ等の何かがあるか、いずれかだろう。
『いよいよ未来、ですね…』
「ああ」
「着いたぞ!未来のサッカー博物館だ!」
キャラバンから降りて、侵入出来そうな場所を探す事に。辺りを見ると侵入出来そうな地下通路を発券した。
『此処から入れそうです。皆さん、行きましょう!』
「ああ!」
地下通路は高低差があって移動し難い。梯子を昇ったり降りたりする時も剣城君が手伝ってくれた。何とも有難い。
『此処が覇者の聖典の飾っている部屋だそうです』
「行きましょう!」
頷いて慎重に進んでいく。見るとセンサーが作動していて、これじゃあ取れる物も取れない…。
「俺、行きます!」
『天馬君…!』
天馬君らしい軽やかなステップで進んでいく。センサーにも引っかかっていない。これなら…
「あっ…」
あとちょっとの所で覇者の聖典を落としてしまい、センサーに感知されてしまった。このままだと非常に危険だ。
「行くぞ!」
『はい!』
出口に向かって進んでいると、いきなり変な空間に閉じ込められた。
『これは…』
「どうやら此処で戦えという事らしいな」
「今回は剣城と雪音とフェイの3トップで行こう」
『いえ。私はディフェンスに回らせて下さい』
「え…?どうして?いつもFWなのに…」
確かに私の化身がFW向きだとは言えども、攻めているばかりじゃ駄目だ。相手からボールを奪えないと。
『お願いします。何かが掴めそうな気がするんです』
「分かった。じゃあ今回は2トップって事で良いかな」
『はい』
今回も化身にお世話になると思うけど…私の化身は何かが違う気がするのだ。紛れも無く私の物なのに、何処か他人の気がするというか。
『行きましょう』