第14章 Tears!〈遠坂 雪音〉
「そちらは?」
「剣城 京介です」
『京介君は、私の彼氏です』
「えー!雪音ちゃんも隅に置けないなぁ!という事は、ヒロト君はショックだったのね〜」
未だ固まってるヒロト君を瑠璃さんが力一杯揺すった。
「ほら、ヒロト君!戻ってきてー!」
「はっ…」
「もう。雪音ちゃんに彼氏が出来たからって、そんなに落ち込んじゃ駄目だよ。雪音ちゃんだって、一歩を踏み出そうとしてる。私達が縛り付けちゃいけない。分かってるでしょ?」
「そう…だね」
『京介君。何だかみっともない所を見せてしまってすみません。明日、また此処で』
「ああ。7時に迎えに来る」
『はい!また明日!』
手を振って京介君と別れた。また明日、此処で会える。
「じゃあそのリボンはもしかして、剣城君から貰った物なのかな?」
『はい!大阪に行ってる時にプレゼントして貰いました!』
「そう言えば…剣城って何処かで聞いた事ある様な…」
『瑪瑙さんでは無いでしょうか?』
「あ、確かに!瑪瑙から聞いた事ある!確か瑪瑙は剣城 優一君って子と良い感じだったっけ?小さい頃からずっと一緒だったもんね」
『はい!』
「本当なのかい⁉︎本当に彼氏が!」
『本当ですよ。ヒロトさん』
またしても石像の様に固まってしまったヒロトさんをスルーして、これから続くであろうタイムジャンプの用意をした。何着か着られる物とタオル。もしもの時の道具も纏めて小さい鞄に詰めた。
『そう云えば…』
メールによれば、菖蒲ちゃんも被害を受けたと聞いていた。一刻も速く助けないと…。はっ…もしかしたら太陽君っていう人も…。明日、時間が有れば太陽君という人に掛け合ってみよう。
ーー翌日
『おはようございます!京介君!』
「おはよう」
『さあ、行きましょう。今日は確か…未来に行くんですよね』
「ああ。覇者の聖典を取りに」
『何だか罪悪感がある様な気もしますが…仕方ありませんよね。頑張りましょう!』
「ああ」
最強のチームについて書かれた覇者の聖典。それを手に入れる為に飛び立つ。
『おはようございます。皆さん!って…人数が少ないですね…』
「ああ…そうかお前達は居なかったのか…」
『何があったんですか?』
「サッカー禁止令が出たのはお前達も知っているな。それは紛れも無くアメリカ対日本の親善試合での日本代表の暴力行為による物だ」
『え…?そんな筈は…』