第16章 この胸のトキメキは?
僕はザルクを瞬きしながら見つめる。
いつもはクールな彼が目を煌めかせながら話す姿が以外で可愛く思った。
「あれ? このお好み焼き···」
ザルクは僕が買ったお好み焼きを食べて、不思議そうな表情《かお》をしている。
「ソレね、ギルドの一人が作ってる物でかなり好評でさ♪ 普段のお好み焼きとはひと味違うから面白いでしょ?」
僕の言葉に彼は頷きながら、気に入ったのを黙々と食べていく。
お腹が満たされた僕たちはぶらぶらと歩いていると後ろから悲鳴が上がる。
「「ッ!」」
振り返ると何かを抱えた人物が此方へ走って来るのが見える。
よく見ると小さな子供を抱えていて、その子は恐怖からか泣いていた。
「誰か! 私の子を!!」
「ザルク! 光魔法で奴の足を拘束!」
「わ わかった!」
僕の掛け声にザルクは頷くと詠唱する。
「彼《か》の者を聖なる光で捕えよ、|光の拘束《チェーンライト》!」
光の拘束は子供を抱えていた人物の足を捕らえた。
倒れた拍子に宙《そら》へ投げ出された子供を僕は迅魔法を駆使して飛び、キャッチする。
序《つい》でに影魔法で奴の体を拘束しといたから簡単には抜け出せないだろう。
親と思う人に子供を返すと泣きながら感謝された。
子供も笑顔でお礼を言ってくれたので助けた甲斐があったな。
「ナッシアナはすごいな」
「え?」
「あの状況で的確な指示をしてくれたから僕は動けたけど···
何にもなかったら黙って見ているだけになっていた」
「···ザルクくん」
「だから益々《ますます》君の事が気になってしまった。これからも君を見させてもらうよ」
「っえ!?」Σ(−∀−;)
笑顔でとんでもない事をサラッと言ったよな!? コイツ!?
楽しそうにするザルクとは反面に気落ちする僕を嘲笑うかの様に綺麗な花火が空に大輪の花を咲かせていた。
END