第11章 節分とプロレスごっこ
読者の方々初めまして、俺の名はヴィケオア・ユニバル。
普段は寡黙を通しているのだが…
今日はそうも言ってられない状況に俺……否俺たちは居る。
「「鬼は外!!」」
子供たちが鬼役である俺、ラシル、そして先輩ギルド員のヨミに豆を当てながらまいているのだ。
「ちょっとヴィケ兄! 避けたら豆まきの意味ないし!」
「そう言われてもな…(汗)」
「「福は内!!」」
「わわわ!? ちょっとコレは痛い!!」
豆まきを避けて文句を言われる俺、逆に間近で当てられたラシルは痛がっていた。
「ハハハハ! 何言ってやがる。お前たちもチビの時は似たような事をやっていたんだぜ? おっと! ん? おい誰だ!? 俺の方に小石混ぜてるのは!」
「「きゃはは!! バレたー♪」」
「待ちやがれー!!」
「「キャー!!」」
ヨミが子供たちを追いかけるが何故か楽しそうだ。
「みんなー!! 恵方巻きが出来たから中に入りなさいよー!」
サナの掛け声に全員が中に入ると温かい室内にホッとする。
食堂には既に出来上がった恵方巻きと汁物が置かれていた。
「おう、お前たち食べるなら黙って食べろよ。出ないと福が逃げるからな」
「「はーい!!」」
新聞を読みながらそう言うのは食堂を管理しているカヤバさん。
彼が作る料理はギルドメンバー全員が絶賛するほど旨く、ラシルもカヤバさん直々に料理を教わる程で腕前は言うまでもない。