第7章 たとえ側に居なくても
カーン…カーン…カーン、年明けを告げる鐘の音が響く。
自分の名前はセイ・ファジー。
学園の教師専用宿舎で自分はもう恒例となった学園長ことアレンと年越しそばを食べている。
「学園長…毎回言いますがご自分の部屋で料理をなさってください」
「そんな冷たいこと言わないでくれよ。
毎年、一人寂しくしている君を心配して来ているのだからさ♪」
「よ・け・い・な・お・世・話・です(怒)」
「なんでさ? 食事は一人で食べるより仲間とたべる方が良い」
「学園長はそうかもしれませんが私はそうではないので」
「も〜…彼女に会えないからっていじけてる〜」
「何か言いました? (怒)(黒笑)」
「いえ…すみませんでした(汗)」
土下座するアレンにセイはため息を吐く。
「彼女とはちゃんと交際出来てます。ただ互いに忙しい身なので
今は文通のやり取りが主です。手紙を読めばその想いは良く分かります」
「だろうね。それにその首に着けてるスヌード…彼女の手作りだろ?」
ニヤリと笑うアレンにセイはそっぽを向く。
そうこのスヌードは彼女がクリスマスの日にプレゼントしてくれた物。
彼女の色を現す毛糸で編まれていて、側に彼女が居る感覚になるのだ。
「ラブラブそうでなによりだ」
安心する表情でセイを見るアレン。
「でもクリスマスから暫くして彼女からの手紙が途絶えてしまっているのです。
それに何やら胸騒ぎがずっとしていて…」
セイの言葉にアレンは眉を寄せる。
「セイも感じているのか…」
「え!? 学園長も?」