第5章 贈りもの
あの学園祭の夜会でまさか再会出来るとは思っていなかったオレの運命の少女。
再会を約束したあの幼い頃に彼女が行方不明と聞き、後に亡くなったと聞かされたがオレは生きていると信じていた。
「夢ではないんだな」
「夢じゃないよ…ずっと逢いたかった」
抱き合って居ると空からサラッとした雪が降り始めた。
「粉雪♪」
「ホワイトクリスマスだな」
オレの言葉に彼女がハッとすると空間魔法で何かを取り出すと渡してきた。
受け取ると彼女は顔を赤らめながら話す。
「今日までに頑張って作ったの…まだ不馴れだから見た目はアレだけど気持ちは人一倍籠ってるから!」
オレは包みを開け、目を見開いた。
見た目なんてめじゃない仕上がりの深緑のマフラーがある。
それを首に巻き、赤らめながらボゥーとオレに見惚れて居る彼女に言った。
「ありがとうレアナ。最高のプレゼントだ」
「エヘヘ♪」
私はそう言って貰えて嬉しくて笑う。
オレはお返しに彼女のある物を髪に挿す。
「え!?」
私は噴水の水面越しに髪へ挿された物を見て驚いた。
それは学園でも人気の装飾屋にある逸品で護りの呪いが施されていて、男性が女性の贈りものにするのに良く買われている物。
私は嬉しくて両手で口を押さえる。
でないと叫びだしそうになるくらい嬉しいのだ。
街を見下ろせる丘に来た私達は手を握り合い、微笑みを浮かべながらキスをする。
やっと通じ合えた思いは粉雪では簡単には凍えない。
END