【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第152章 ◇第百五十一話◇未来を憂う月【女型の巨人編】
そんなの私は一生兵舎には戻れない。
それなのにー。
「許してもらえるまで、俺はここに通って何度でも頭を下げる。」
「無駄ですよっ。いいんですっ。分からず屋の両親とは縁を切ったんです。
私はリヴァイ兵長さえいればいいんですっ。」
「良くねぇ。両親が健在で、お前のことを大切に想ってくれてる。大層なことじゃねぇか。
自分で手を放してんじゃねぇよ。代わりに俺が掴んででも、家族の縁は切らせねぇぞ。」
漸く顔を上げたリヴァイ兵長は、私の頭を鷲掴みにして強引に両親の方を向かせた。
泣きそうな顔で私を見ている彼らは、とても傷ついていて、そしてー。
私のことを愛しているー。
知っている、それくらい。
分かってはいる。
でもー。
「…私はリヴァイ兵長と一緒にいたい。許してもらえなくても、何を失っても。」
私がそう言うと、父親が長い息を吐いた。
そして、リヴァイ兵長の方を向いて口を開く。
「私は、命を懸けて守る必要はないと言っただけだ。
トロスト区へ連れていくなと言った覚えはない。」
首をかしげる私の横で、リヴァイ兵長も意味が分からなかったのか片眉を上げた。
とにかく座りなさいと言われ、私とリヴァイ兵長はソファに腰を下ろした。
「リヴァイくん、君はとても素晴らしい青年だ。娘にはもったいないくらいだ。
そんなことは初めから分かっていた。でも、どうしても娘を死なせたくなかった。
そのために、失礼なことをたくさんした。本当に申し訳なかった。」
父親が頭を下げるから、私はひどく狼狽えた。
そんなところ、もちろん、見たことなんてなかった。
リヴァイ兵長もとても驚いたと思う。
いつものようにあまり顔には出なかったけれど、顔を上げてくれと言うまで数秒、時が止まっていたから。