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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第149章 ◇第百四十八話◇命懸けの幸せを守るために走れ【女型の巨人編】


アルミンに声をかけて、やっと走り出そうとした私の背中をルーカスの焦った声が追いかけてきた。
なぜだろう。
急いでいるのに、時間がないのに、私は振り返ってルーカスの言葉を待っていた。

「最後にひとつだけ聞かせてくれ。」
「…なに?」
「どうして、あの男なんだ。今だって生きてるかもわからないじゃないか。
 いずれ君を残して死ぬ、それか君が先に無残に死ぬかどっちかだ。
 それがわかっていながら、なぜはあの男を選ぶ。」

ルーカスは怒っていた。
すごく、悲しそうに、切なそうに、怒っていた。
私を強引に引き留める代わりに、両の拳を震わせてー。

「私に翼をくれた人だから。」
「…翼?」

ルーカスが訝し気に眉を顰めた。
いつか、リヴァイ兵長にお願いしたことがある。
私が死んだら、リヴァイ兵長の黒い翼にしてほしいって。そうやって、死んでからも一緒に空を飛ばせてほしいって。
それが、いつの間にか、私の背にも黒い翼がいくつも乗っていた。
すごく重い、すごくツラい、振りほどきたいときもある。
でも、私がその黒い翼を背負って飛べるのは、もっともっとたくさんの黒い翼を背負ってもなお強く生きる背中をリヴァイ兵長が見せてくれるからだ。
彼は、私の道標だ。
失ってしまったら、私はもう空を飛ぶどころか、歩くことすら出来なくなる。

「リヴァイ兵長は、私に自由に空を飛ぶ翼をくれたの。
 自由には責任も伴うし、命懸けだけど、空から見る景色は最高だって知ってしまったら
 もう地面には降りてこられない。そもそも空高く飛んでる私達の翼は誰にも折れない。」

私を睨みつけるように、ここに残ってくれと懇願するように見つめていたルーカスの瞳が、ゆっくりと諦めていったのが分かった。

「ごめんね。」

小さく呟くように言ったそれが彼に聞こえたかはわからない。
そもそも彼に言ったのかもわからない。
私は、アルミンと一緒に仲間の元へ走った。

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