【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第147章 ◇第百四十六話◇信じて待っていた【女型の巨人編】
カッとなって顔を上げれば、ひどく傷ついた顔の母親が私を睨みつけていた。
悔しそうに唇を噛み、真っ赤な瞳は必死に涙を堪えているようだった。
思わず言葉を飲み込んだ私を、母親はとても悲しそうに叱った
「死んでもいいなんて二度と言わないで!!」
「…っ。」
「私もお父さんも、にどんなに嫌われようが、憎まれようが、絶対にここから出さない!
娘が幸せになるためなら、私達は鬼にだってなれるし、悪魔だって利用する!」
「そんなの…、おかしい…。私の幸せのためなら、私はー。」
「お願いよ、。私達はあなたを愛してるの。それこそ、リヴァイさんより、ルーカスさんよりもずっと。
しなくていい苦労ならして欲しくないし、生きていてほしい。
死んで、ほしくなんか…、ないのよ…っ。」
母親は、私の両腕を掴んで、縋るように泣いて懇願した。
彼女の気持ちが、痛いくらいに掴まれた腕から伝わってくるのに、私は何と答えればよかったのだろう。
ねぇ、リヴァイ兵長。私はどうしたらいいの。
運命を受け入れて、ベールで気持ちを隠して、偽りの花嫁になればいいの。
それともー。
あなたがいつまでも迎えに来ないことがその答えだとは、どうか、言わないでー。
「様、お待たせ致しました。お式の準備が整いました。
ルーカス様がお待ちです。」
白髪の執事が控室の扉を開く。
娘の幸せへつながると信じて、母親は私の手を引いて式場まで向かう。
この先にあるのは絶対に私の幸せではないとわかっていながら、母親への愛も捨てきれず、私が向かうのはー。
扉が閉まる前に、一度、振り返る。
カーテンが揺れる窓の向こう、綺麗な青色の下に、私がずっと待っていた人は、いなかった。