【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第144章 ◇第百四十三話◇引き裂かれる2人【女型の巨人編】
人類最強の兵士のまさかの行動に、父親も含めて、誰もが自分の目を疑った。
「悪かった。殴られて当然のことをしていた自覚なら、ある。
本当に、申し訳なかった。」
「…っ、リヴァイ兵長っ、顔を上げてください…!
全部、私がそうお願いしてたからでしょう?
嘘に付き合わされてただけなんだから、リヴァイ兵長は悪くないです…!」
「一緒に嘘を吐いたんだから同罪だ。むしろ、俺は上官としても部下を諭す立場にいた。
それなのに、の好きなようにさせた。俺の方が罪が重い。」
「そんなの、意味が分かりません…っ!
お願いだから、調査兵団の兵士長が、私なんかのために頭を下げないでくださいっ。」
「気にするな。今、俺はお前の男として、頭を下げてる。」
肩を持って、顔を上げるように言っても、リヴァイ兵長は頭を下げ続けた。
父親ですら、人類最強の兵士が自分の非を認めるとは思っていなかったようで、狼狽えているようだった。
「あなた…っ、…っ!!」
悲痛な声に名前を呼ばれ顔を上げると、涙で目を真っ赤にした母親が私の元へ駆け寄ってきた。
リヴァイ兵長も、母親の声でようやく顔を上げてくれたようだった。
「さぁ、帰りましょう。。」
「いや…!」
母親の手を振りほどき、私はリヴァイ兵長に抱き着く。
ショックを隠そうともしない母親の真っ青な表情に、胸が痛くなった。
でも、私はリヴァイ兵長と残酷な世界と向き合って生きることを選んだことに後悔はない。
それなのに、自分の腰にまわる私の手をリヴァイ兵長が無理に離すから、ショックを受けた。
だがー。
「ちょうどいい。の母親にも聞いて欲しい。」
リヴァイ兵長はそう言うと、また頭を下げた。
そしてー。
「本当に、悪いと思ってる。だが、俺はに心底惚れてる。
が望む限り、俺の手でアンタの娘を守らせてほしい。命を懸けて守る。
絶対死なさねぇと誓う。だから、そばにいさせてほしい。」
リヴァイ兵長が、頭を下げた理由が分かって、私は胸が引き裂かれそうだった。