【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第140章 ◇第百三十九話◇瞳に映した最悪な事実【女型の巨人編】
第三次捕獲作戦で捕らえたはずの女型の巨人に逃げられた。
罠の数が足りなかったようだ。
ハンジさんの号令で、調査兵達が女型の巨人を追いかける。
そこへ漸く巨人化したエレンも現れて、私は建物の上に降りた。
巨人化したエレンから必死に逃げる女型の巨人を見たとき、なぜか、ふと、思い出した。
『アイツらも故郷に帰るために頑張ってる。
だから、絶対に帰りたい。みんなで、絶対に。絶対に。生きて…!』
必死に走って逃げたアニは、もしかして、故郷に帰ろうとしたのだろうか。
でも、それって、どこー。
(あ…!)
アニと同郷だったライナーとベルトルトを思い出した。
どうして、私は気づかなかったのだろう。
アニが嘘を吐いていなかったのなら、彼らももしかしたらー。
私は立体起動装置のワイヤーを飛ばして、女型の巨人に背を向けた。
建物の間を飛んでいると、アニやエレンが走り抜けた後に散乱する民間人の遺体が幾つも見えた。
彼らは、調査兵団の作戦による犠牲者だ。
グッと唇を噛んだときだった。
「!?」
聞き慣れた声がして、思わず伸ばしたワイヤーを巻き戻し、近くの建物の上に飛び乗った。
下を見ると、父親と母親が驚愕の表情で私を見上げていた。
両親の住んでいる場所は、中央通りからは離れているから問題ないと思っていた。
彼らの安全も、私の嘘がバレるのもー。
「これは一体…、どういうことだ…!?」
「どうして、あなたが調査兵みたいな恰好をして…、
何をしてるの、ねぇ…。」
真っ青な顔で怒鳴る父親と怯えるように私を見上げる母親から目を反らす。
その先に見知った顔を見つけた。
「ダイ!フェルディ!
父と母がまだここに残ってるの!すぐに避難させてほしいの!!
来てくれる!?」
「の両親が!?あぁ、すぐに行く!!」
「お前はハンジ班じゃなかったのかよ!?いいのか!?」
「ミケ分隊長のところに行って、伝えたいことがあるの!
ハンジさん達には、ダイから伝えておいて!
あと、両親に何を聞かれても、知らぬ存ぜぬでよろしく。」
「、もしかして、また単独行動をー。」
「テュランを連れて行くから大丈夫!じゃあ、よろしくね!」
これ以上の追及を受けないように、私は、ダイにも両親にも背を向けて、急いだ。