【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第140章 ◇第百三十九話◇瞳に映した最悪な事実【女型の巨人編】
兵舎に戻った頃には、涙は枯れ果てていた。
部屋に帰ってきた私を見て、リヴァイ兵長は何も言わずに抱きしめてくれた。
いつものようにソファに並んで座って、リヴァイ兵長の腕の中にいても、頭に浮かぶのはフロリアンのことばかりだった。
彼女はもう、あの優しそうな誠実な彼の腕の中で安心して眠ることはないのかー。
そう思うと、たまらなく涙が溢れた。
あぁ、涙は枯れないのだと、ルルの時に知ったことを思い出す。
「泣けばいい。」
必死に涙を堪えようとしていたのに気づいたのか、リヴァイ兵長が優しく髪を撫でてくれた。
それがまるで、スイッチになっていたみたいに、どっと溢れた感情と涙がリヴァイ兵長の胸に吐き出される。
子供みたいに、恥ずかしいくらいに声を上げて泣いた。
フロリアンが死んだ。違う、殺された。
誰に。巨人じゃない、それはー。
『もしさ…、その巨人化出来る人間が、アタシだったらさ、どうする?』
私の部屋に泊まりに来たアニが、とても不安そうな瞳で私を見たとき、どうして気づいてやれなかったのだろう。
そうすれば、あのとき、女型の巨人は泣かなかったのかもしれない。
アニのSOSにもっと早く気づいていたらー。
調査兵団の兵士達は、アニを女型の巨人と想定して、新しい作戦を実行しようとしていたー。