【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第135章 ◇第百三十四話◇彼女の叫び【女型の巨人編】
「リヴァイ兵長、もう一度、女型をー。」
リヴァイ兵長のいる女型の巨人の頭の上に飛び移ったときだった。
女型の巨人が突如、空を裂くような叫び声を上げた。
それは襲われた動物の悲鳴のように悲痛で、怖ろしい覚悟を感じた。
「…っ。」
耳をつんざくような痛みに、咄嗟に自分の耳を塞ぐ。
リヴァイ兵長も片手で自分の耳を塞ぎながら、私を守るように抱き寄せた。
女型の巨人の叫びは数秒続いた後、漸くおさまった。
「断末魔…ってヤツですか?迷惑な…。」
モブリットさんが、両目をキツく閉じたまま苦しそうに文句を言う。
「…。てめぇ、びっくりしたじゃねぇか。」
リヴァイ兵長も、とても驚いたようだった。
そうは、見えなかったのだけれどー。
「エルヴィン!匂うぞ!」
ミケ分隊長が、焦った様子で、エルヴィン団長の元へ飛んだ。
「方角は?」
「全方位から多数!同時に!」
「発破用意を急げ!」
「エルヴィン!先に東から来る、すぐそこだ!」
「荷馬車護衛班、迎え撃て!!」
エルヴィン団長の指示で、荷馬車護衛班の精鋭達が飛んでいく。
「私もー。」
「いや、必要なさそうだ。」
加勢しようとした私を、リヴァイ兵長が止める。
東から走ってきた数体の巨人は、荷馬車護衛班の精鋭達を無視して、私とリヴァイ兵長の元へまっしぐらに向かってきていた。
「オイ…、てめぇ…、さっき何かしやがったな。」
リヴァイ兵長が苛立った様子で、女型の巨人の頭を足で叩く。
でも、彼女が何か答えることはない。
「チッ、はハンジのところへ戻ってろ。」
リヴァイ兵長は私に指示を出すと、走ってくる数体の巨人の元へ飛んだ。
あっという間に討伐したのを確認しながら、私は指示通りにハンジンの元へ戻る。
「全方位から巨人出現!!」
モブリットさんが叫んだのと同時に、私の視界いっぱいに巨人の大群が現れた。
全方位から女型の巨人に向かって、数えきれない数の巨人がつっこんでいく。
「全員戦闘開始!!女型の巨人を死守せよ!!」
エルヴィン団長が新たな指示を叫ぶ。
超硬質スチールを鞘から抜き、立体起動装置のワイヤーを飛ばす。
調査兵達が一斉に、巨人の大群に飛び掛かった。