【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第129章 ◇第百二十八話◇合わない辻褄と誰かの嘘【女型の巨人】
「も飲むかっ。」
一番賑やかな声の主に声に振り返れば、昼間から完璧に出来上がったゲルガーさんが、酒の瓶を片手にニーッと口の端を上げていた。
その向こうでは、ゲルガーさんの班を中心にミケ分隊長の分隊の調査兵達がお酒を楽しんでいる。
「私はまだモブリットさんに提出する書類が残ってるので、遠慮しておきます。」
「じゃあ、問題ねぇなっ!モブリットもそこで出来上がってるぜ!」
「え?」
ゲルガーさんは、私の腕を引っ張り無理やり酒の席へと連れて行く。
強制参加させられそうになっている新しい仲間の登場に沸く酒飲み達の中に、確かに、モブリットさんがいた。
顔を赤くして完全に酔っぱらい、グラスではなく、瓶に口をつけて酒を煽っている。
豪快な飲みっぷりに、私は自分の目を疑った。
「ほらっ、も飲め!」
ゲルガーさんが強引にグラスを私の手に持たせようとするのを、私は断った。
「本当に大丈夫です。もし、リヴァイ兵長が早く帰ってきても
酔っぱらって寝てたら、また会えないから。」
「健気だねぇ~。お前は本当にイイ女だ!
自分の男が、他の女と会ってても文句ひとつ言わねぇで、待ってやってるんだからよ。
よし!!飲め!!俺が許可する!!!」
ゲルガーさんが、もう一度、私の手にグラスを強引に押しつけてくる。
今度こそ、私はそのグラスを受け取ってしまった。
グラスの中で揺れるお酒みたいに、私の頭もグラグラしていた。
まだ一口もお酒を呑んでいないはずなのに、ぼんやりする。
まるで、頭に霧がかかったみたいだ。
「あー、いたいた。も酒飲んでんの?意外だね~。」
私を探してやってきたのは、ハンジさんだった。
モブリットさんも見つかってしまい、私と一緒にハンジさんの執務室兼自室に連行された。
「どんだけ酒呑んだの?モブリットは顔赤すぎ、は顔青すぎ。
ねぇ、聞いてる?巨人化実験でさぁ~ー。」
執務室兼自室に入るなり、この雨の中で巨人化実験をしたいのだと嬉々として語りだしたハンジさんを、私はただぼんやり眺め続けていた。
でもそれも、エレンの監視役であるリヴァイ兵長がいないから、叶わないのだと、あともう少し話させてから教えてやろうと思う。