【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第129章 ◇第百二十八話◇合わない辻褄と誰かの嘘【女型の巨人】
翌日は思った通り、雨が降った。
結局眠れなかった私は、執務室のソファに座って夜を明かした。
そうして朝方、ようやくリヴァイ兵長は帰ってきた。
レインコートを着ていなかったのか全身びしょ濡れで、ソファに座る私を見てひどく驚いてー。
いや、ひどく狼狽えていた。
そして、いつもなら、帰ってきたらすぐに私を抱きしめるリヴァイ兵長は、雨に濡れているからとシャワールームに入った。
それもそうだ。
濡れた身体で私を抱きしめたら、私も濡れてしまうし。
それに、雨に濡れて冷えた身体は早く熱いシャワーで温めてほしい。
だからきっと、リヴァイ兵長がシャワールームに消えたのは、ふわりと私の元まで届いた香水を消すためじゃない。
ほんの一瞬、リヴァイ兵長が私の横を通り過ぎたときに香水の匂いがした。
でもきっと、それは私の勘違い。違う、絶対に違う。
(今日は、長いんだな…。)
いつもあっという間にシャワールームから出てくるのに、今日はいつまでもシャワーの音が消えない。
何をそんな一生懸命に洗い流そうとしているのだろう。
雨で冷えた身体だろうか。
それとも、その身体に残った私の知らない痕か。
それでもなければ、優しいリヴァイ兵長の心に刻まれてしまった罪悪感かもしれない。
悪い妄想を取り払うように、私は紅茶を作り始める。
色違いの翼の飾りのティーカップで、いつもよりも少し熱めのお湯で、リヴァイ兵長の好きな紅茶の葉で。