【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第126章 ◇第百二十五話◇悪夢から私を救ってくれる貴方【女型の巨人】
「ぃやぁぁぁーーーー!!!」
自分の悲鳴で目が覚めた。
汗だくの身体を起こし、必死に伸ばした先にあるのは闇と空気だけだ。
(また…。)
額に手を乗せ、顔を伏せて息を吐く。
ルルが死ぬ夢を見るのは、もう何度目だろう。
ルルが残してくれた声を胸に刻んで、前を向いて生きていくことを決めた。
もう、私のせいとか、私だけ生き残ったとか、そんなことは思っていない。
ルルがそれを望んだから、ルルのおかげで今があるのだと感謝しながら生きている。
それでも、あの日の悪夢は私を解放してくれない。
たぶん、一生続くのだと思う。
そうやって私は何度も、何度も、夢の中で親友を殺していくのだろう。
何度も、何度もー。
「どうした。」
すぐ隣からリヴァイ兵長の声がして、ハッとする。
同じ部屋になってからは、忙しい中でも2人の時間を作りたくて、お互いに約束をとりきめたわけでもなく、ただただ自然に同じベッドで眠るようになった。
だから、今夜も一緒に眠っていたんだったー。
気づいたら、私はすがるようにリヴァイ兵長に抱き着いていた。
驚いて息を呑んだのが耳元で聞こえたけど、すぐに力強い腕が震える身体を抱きしめ返してくれた。
「起こしてしまって、すみません…。」
「俺は構わねぇが、どうかしたのか。」
「怖い、夢を…見て…、それで…。」
言いながら、子供みたいだと思って、泣きそうになった。
でも、あれは確かに、私にとって怖い夢だ。
私の知っている中で、最も怖い夢。
あぁ、夢ならいいのにー。
夢なら、よかったのにー。
不意に、リヴァイ兵長の指が私の頬に触れる。
濡れている感触にようやく気付いて、私は目を伏せた。
「そうか。」
リヴァイ兵長が、抱き着く私の頭を優しく撫でる。
私がどんな夢を見たのか、分かったのだろうか。
ルルを掴めなかった私の役立たずの手を、ギュッと握りしめてくれた。
「大丈夫だ。俺がずっと、そばにいてやるから。」
その夜、リヴァイ兵長は、私が眠りにつくまでずっと、優しく頭を撫で続けてくれた。
もう1人じゃないのだと、ずっとずっとそばにいると繰り返しながらー。
だから私は、安心して眠れたのー。