【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第107章 ◇第百六話◇悪魔の駒【恋の行方編】
爆弾事件に紛れてを殺すはずの作戦が、復讐心に溺れたモーリのせいで失敗し、そのせいでリヴァイと恋人にまでなってしまって最低な気分のところにやってきた次のチャンスー。
ジーニー達が生かさないわけがなかった。
だって、ここでを始末することが出来たら、王都に住ませてくれると約束までしてくれたのだ。
リヴァイがもう手に入らないことは理解している。嫌というほどにー。
それなら、優雅な生活を手に入れるだけだー。
やられてばかりだと思ったら、大間違いなのだ。
「さようなら、調査兵団のお姫様。
私は、本物のお姫様になるわ。」
意識のないの華奢な身体に、強くなりだした雨が打ち付ける。
主人を振り落としてしまった暴れ馬が、心配そうにその頬を鼻でつつくが反応はない。
(ざまーみろ。)
泣きそうな顔でを見下ろすエイクをひと睨みし、ジーニーはその場を離れた。
1人、また1人、と取り巻きが彼女の後を追う。
最後に、エイクも追いかけてきた。
結局みんな、自分の命が、自分の幸せが大切なのだ。
どんなに命懸けで助けようが、最後はこうして裏切られるのがこの世界の真実の姿ー。
ジーニーの後ろにつき、エイクが振り返った。
白い霧と雨の中、地面に横たわるの姿が遠く見える。
その姿から逃げるように、エイクは前を向く。
唇を噛み、手綱を強く握り、壁内を目指す。
もう二度と、彼女が振り返ることはなかった。
雨はいつの間にか、本降りになっていた。