【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第107章 ◇第百六話◇悪魔の駒【恋の行方編】
壁に囲まれた世界を目指し帰還中の調査兵達の視界を、白く分厚い霧が覆い始めていた。
長距離索敵陣形を先導するミケからの信煙弾は、壁内を目指すことを教えてくれた。
一旦どこかで霧が晴れるのを待つ選択肢もあったとは思うが、天候が回復し巨人の動きが活発になる前に帰還しようということだろう。
それはとてもー、都合がいい。
監視役のはジーニー達を先導するように走り、常に背中を確認できる距離にいる。
暴れ馬も一応、の言うことは聞くようだ。
でも、あの自慢の脚力の脚を切られても、走り続けられるだろうか。
きっと、答えはノーだー。
ジーニーの口の端が不自然に上がる。
「をここに置いて行く。」
「え?今、何て言った?」
「だから、をここに置いて行くのよ。
馬から引きずりおろせば、もう二度と壁内には戻ってこれない。」
「えっ!?」
「さすがにあの女も壁外で1人になれば、ジ・エンドよ。」
「でも、そんなことしたらー。」
「この霧に紛れてはぐれたとでも言えばいいわ。
怪しまれない。」
「そうかもしれないけど、でもー。」
「なに、エイク、さっきからどうしてそんな青い顔をしてるの?
アンタも自分を助けてくれたと一緒に、死にたいわけ?」
睨みつけてやれば、エイクがゾクリと震えたのが分かった。
ジーニーにとって、取りまきの彼女達はただの引き立て役、そして駒でしかない。
どうせ、実力もそこまでないエイクがのために残ると言ったって、何の役にも立たないどころか、お荷物になるだけだ。
それなら、それはそれで都合がいい。
誰が死んだって、自分が生きていればどっちだっていい。
「…別に、を助けたいと思ったわけじゃない。
本当に怪しまれないか心配になっただけ。」
「そう、そういうことにしてあげてもいいけど。
じゃ、行くわよ。」
ジーニーが言えば、エイク達がゴクリと唾を飲み込み頷いた。
それを確認して、馬の速度を上げの元へ向かう。
霧がうまくジーニー達の姿を隠してくれているおかげで、コッソリ後ろにつけば、気づかれることはなかった。
しかしー。