【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第106章 ◇第百五話◇悪い予感【恋の行方編】
デスクの上の本棚には、巨人に対する戦闘術をまとめた資料や本が幾つも並んでいた。
誰も死なせない兵士はもう死んだー。
そんなことを言っていただったけれど、命の選別をする覚悟は出来ただけで、根本的なものは変わっていないのだろう。
彼女はきっと今も、壁外で、出来るだけ誰も死なないように戦おうとしているはずだ。
それが、自分がリスクを背負う危険な選択になろうとも、躊躇いも、迷いもせずにー。
それを知っているから、リヴァイは自分の目の届かない場所にが行くことを許したくなかったのだと思う。
「絵本?」
巨人やこの世界についての難しそうな本が並ぶ中に、ハンジは、一冊だけ毛色の違う背表紙を見つけた。
手に取って見れば、絵本のようだった。
表紙には、可愛らしいお姫様が星にお祈りをしているような絵が描かれている。
「わぁ、懐かしいですね。
子供の頃、母親によく読んでもらってました。
最後が悲しくて、あんまり好きではなかったですけどね。」
ニファがやってきて、ハンジの手元の本を覗き込む。
「へぇ~、そうなんだ。」
「ハンジさんは、子供の頃から巨人の絵本読んでそうですもんね。」
さすがにそれはないーと言おうとしたが、ニファはデスクの中のものを整理し始めたので、苦笑に変えた。
(悲しい最後って、どんなんだろう?)
好奇心旺盛のハンジは、適当に絵本のページをパラパラとめくる。
そして、最後のページ。
騎士に抱きしめられながら眠るお姫様の絵を見つけると、なぜか、すごく嫌な予感がした。
それが何かは分からない。
でも、とてつもなく悪いことが起こるようなー。