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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第102章 ◇第百一話◇花占い【恋の行方編】


翌日も、同じ朝を過ごした。
訓練の休憩中、私は木陰に腰かけて、固い地面から力強く咲く白い花にそっと触れる。
子供のころに母が教えてくれた花占いで、好きな人の気持ちを確かめるなんていつ以来だろう。
もう遠い昔過ぎて忘れた。
千切られる度に風に乗って飛んでいく花弁を、そっと指で数えながら小さく呟く。

「好き、嫌い、好き、嫌い、好き…。
 やっぱ、ナシ。」

棘のない可愛らしい花にまで傷つけられそうだったので、花弁に触れていた指を離す。
顔を上げれば、私のどんよりした気持ちとは正反対の青い空が見えてー。

「何がナシなんだ。」

青い空を遮るように、目の前に立って訝し気に私を見下ろしているリヴァイ兵長がいた。

「…いつからいたんですか?」
「その花に触って、ブツブツ言いだしたところからだ。」
「最初からじゃないですかっ!なんで教えてくれないんですかっ。」

すごく久しぶりに話せて嬉しい気持ちを忘れてしまうくらい、恥ずかしかった。
子供だましの恋占いをいい大人が真剣にして、結果が思わしくないと分かればなかったことにするなんて、情けない。
しかもそれを、好きな人に見られるなんて、末代までの恥だ、と私は思う。

「気づかねぇのが悪ぃ。」

リヴァイ兵長はそう言って、私の隣に腰を下ろす。
少しだけ触れた指から、一気に緊張が身体中を駆け上がっていって、まともに隣が見られなくなってしまう。

「訓練指導中じゃないんですか?」
「休憩だ。」
「私と一緒ですね。」
「そうだな。」

会話が終わった。
沈黙が流れる。
久しぶりなことと、会わなくなった途端に急に実感してしまった“恋人”という関係性への戸惑いと緊張で、ドキドキしすぎてどうすればいいかわからない。
自分はいつも、リヴァイ兵長とどんなことを話していた。
どんな風に話していた。
好きだと自覚する前は、とても簡単だったはずなのにー。

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